市況動向

銅事情 8月号

2026年08月06日 資材委員会提供

<7月の国内事情>

 日銀は7月30日、7月31日に行われた金融政策決定会合において、6月の会合で0.75%から1.0%への引き上げた「政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導水準」を1.0%のまま据え置くことを決定した。この結果は、6月に行った利上げの直後であったこともあり大方の市場予想通り。据え置きに対する反対票は全9票の内の1票で据え置きに対する反対票が投じられたが、投じた高田委員については、2025年12月会合で利上げを決定した直後の1月会合においても追加利上げを主張していたことから、今回の反対もある程度予想の範囲内といえるものだった。今回は金利が据え置かれたわけだが、総じて追加利上げの姿勢は維持されている。
 公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、経済の先行きの展望として、2026年度については中東情勢の影響が景気を下押しするものの、AI関連需要や持続的な賃上げ、政府の各種施策、緩和的な金融環境などが、経済を下支えするものと考えられ、緩やかな成長が続くとしており、2027年度以降は原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から消費への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、成長率を緩やかに高めていくとした。実質国内総生産(GDP)の政策委員見通しの中央値は、2026年度を前回4月時点の見通しプラス0.5%からプラス0.6%に、2027年度をプラス0.7%からプラス0.8%にそれぞれ0.1%引き上げ、2028年度はプラス0.8%のまま据え置いた。リスクバランスについては、前回「下振れリスクが大きい」とした4月時点から、下振れ方向への警戒は残しつつも「概ねバランスしている」に修正された。
 物価の先行きの展望としては、消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度対比の上昇率を2026年度が前回4月時点の見通しプラス2.8%からプラス2.5%に下方修正、2027年度がプラス2.3%からプラス2.4%へ上方修正、2028年度がプラス2.0%の前回数値据え置きだった。2026年度の下方修正は政府による夏場の電気・ガス料金支援が反映されたことや、原油価格の低下、足元の実績値がやや低めであることなどが影響している。今後も人手不足が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇するメカニズムは維持されるとし、基調的な物価上昇率は2026年度後半から2027年度にかけて2%の物価安定目標と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移するとのシナリオを維持している。リスクバランスは前回4月と同じく「上振れリスクの方が大きい」との評価だったが、中東情勢や原油価格、為替相場、企業の賃金・価格設定行動に加え、AI関連需要の拡大が物価を押し上げる可能性を強調した点が特徴的だった。AI関連需要は、輸出・生産、設備投資を支えるだけでなく、世界的な需要拡大や供給制約を通じて、国内外の物価上昇圧力を強める可能性がある。また、金融緩和度合いを調整するタイミングやペースを検討する際の点検項目としても、中東情勢に加えてAI関連需要と為替相場が明記された。日銀は、基調的な物価上昇率が2%を超えて上振れるリスクが顕在化し、その後の経済に悪影響を及ぼさないよう、基調物価を2%程度で安定させる観点が重要だとしており、予想物価上昇率や賃金・価格設定行動を通じて上振れリスクが強まった場合には、先回りして金融緩和度合いを調整する余地を示したものと思われる。

<銅事情>

 7月の銅価格は、月初の13,170ドルからスタートし、中旬にかけては米国の利上げ観測後退やドル安進行、中国の製造業PMI改善、中国向け輸入需要の強さなどを背景に堅調に推移した。一方で、米国・イランを巡る中東情勢の緊張や原油価格上昇によるインフレ再燃懸念、中国景気減速懸念などが上値を抑える場面も見られた。月後半は、上海先物取引所およびLME在庫の減少、中国市場での現物需給ひっ迫、米国向け在庫移動などを背景に上昇し、一時14,000ドル近辺まで上伸した。その後は利益確定売りやFOMCを控えた様子見姿勢により調整したものの、ドル安進行や堅調な株式市場、供給懸念が相場を下支えした。月末には中国製造業PMIの弱含みが意識されたものの、需給ひっ迫観測は継続し、7月末のLME銅価格は13,834ドルとなった。
 7月のLME銅在庫量は、前月末の329,225トンから先月に引き続き減少し最終的に前月末比で79,375トンの大幅減となった。7月末のLME銅在庫量は249,850トンで、前月末対比マイナス24.1%となった。先月の通商拡大法232条に基づく一部の銅、アルミニウム、鉄鋼に対する関税を修正する大統領布告の署名が影響しLMEからCOMEXへ在庫が移動している影響が考えられる。
 7月の国内銅建値は、6月末プラス3万円の227万円/トンでスタートし、3日にマイナス4万円の223万円/トン、7日にプラス3万円の226万円/トン、9日にマイナス2万円の224万円/トン、13日にプラス3万円の227万円/トン、15日プラス2万円の229万円/トン、21日にプラス2万円の231万円/トン、22日にプラス6万円の237万円/トン、24日にマイナス5万円の232万円/トン、28日にプラス4万円の236万円/トンとなり、7月平均の銅建値は、230万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2026年 2月:209.8万円/t 3月:209.0万円/t 4月:214.2万円/t 5月:224.4万円/t 6月:227.4万円/t 7月:229.7万円/t。
 2026年8月の国内銅建値は、7月末よりマイナス8万円の228万円/トンでスタート。



過去の銅事情