市況動向

銅事情 11月号

2015年11月18日 資材委員会提供

<10月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、10月の現状判断DIは、家計動向関連DIで小売関連指数などが上昇、企業動向関連DIでは製造業指数が上昇したことから前月比0.7ポイント上昇の48.2ポイントとなった。また10月の先行き判断DIは、家計動向関連DIが上昇した一方で、企業動向関連DI及び雇用関連DIは低下したことから、前月に対し横ばいの49.1ポイントとなった。以上のことから「景気は中国経済に係る動向の影響等がみられるが、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては冬のボーナスへの期待等がみられるものの、中国経済の情勢や物価上昇への懸念が見られる」とまとめられた。
 また日本電線工業会発表「2015年度銅電線需要見通改定」によると、内需・輸出合計で71万7,000トンと前回3月公表予想値72万5,000トンから1.1%の下方修正となった。出荷数量としての70万トン台は3年連続の数値となるが、前年度比減(▲0.9%)は6年ぶりとなった。部門別には、下方修正部門は輸出部門の23.1%減、通信部門の8.3%減、自動車部門の4.4%減、電機部門の0.1%減となり上方修正部門は、その他内需部門の3.3%増、電力部門の3%増、建設電販部門の0.6%増となっている。同じく「2019年度中期電線需要見通」に関しては、2014年度から2019年度の平均伸び率はほぼ横ばいの0.1%増の72万8000トンとした。

 

<銅事情>

 10月のLME注1銅相場は、前月末の5,000ドル台を探る状況の中、スイスの資源大手グレンコア社がアフリカの銅山を一時停止したことに続き、亜鉛でも大幅な減産実施、12日には2つの銅山の売却発表により、亜鉛相場の急騰とそれに連れて銅も堅調な推移となり、1月からの上値抵抗線である5,390ドルを臨む状況となった。しかし世界最大の銅の消費国である中国の貿易統計で輸入が大幅に減少したことや、中国GDPの伸び率の軟化等により相場は再び押し戻され5,200ドルでのにらみ合いが続いた。月終盤には、ECB(欧州中央銀行)ドラキ総裁による追加緩和観測や中国人民銀行による景気刺激策としての利下げ、また中国株の上昇もポジティブ要因として加わったが、全般には中国経済の不透明さが先行する頭の重い状況が続いた。LME銅在庫は、月初の32万トン台から減少の一途をたどり月末には今年の2月以来の26万トン台への低い在庫水準となった。
 2015年10月の国内銅相場は、前月末の66万円/トンから1日にプラス1万円の67万円/トンでのスタート、その後13日にはプラス2万円の69万円/トンへ、16日にはマイナス1万円の68万円/トンへ、21日には更にマイナス1万円の67万円/トンとしたが、再び26日にはプラス1万円の68万円/トンとなった。11月からは、2日よりプラス1万円の67万円/トン、6日には66万円/トン、12日には65万円/トン、18日には63万円/トン、24日にはマイナス3万円の60万円/トンとして現在に至る。
 2015年10月平均建値は67.7万円/トンとし前月と比べ0.3万円/トンのナイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 5月:81.1万/トン 6月:77.0万/トン 7月:72.4万/トン 8月:67.9万/トン 9月:68.0万/トン 10月:67.7万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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