銅事情 5月号
2021年05月11日 資材委員会提供
<4月の国内事情>
日銀は、4月に公表した「経済・物価情勢の展望レポート」において、2020年度の実質国内総生産(GDP)の見通しについては、マイナス4.9%と前回1月公表値(マイナス5.6%)から上方修正とした。2021年度については、プラス4.0%とし、21年1月公表値のプラス3.9%からわずかに上方修正とし、2022年度についても、プラス2.4%とし、前回1月公表値(プラス1.8%)からの上方修正とした。さらに2023年度については、プラス1.3%と見込んでいる。いずれも内外需要の強まりを主因とし上方修正されている。一方、2020年度消費者物価指数(CPI)の見通しについては、マイナス0.4%と前回1月公表値(マイナス0.5%)からわずかに上方修正とした。2021年度については、感染症や携帯電話通信料の引き下げの影響などをうけて一時的に物価の下押し要因として作用するため小幅なマイナスで推移するとみている。2022年度はプラス0.8%とし、前回公表値(プラス0.7%)からわずかに上方修正とし、2023年度は、プラス1.0%と見込んでいる。2022年度以降については、携帯電話通信料引き下げの影響が一巡し、感染症の影響もワクチンの普及などにより徐々に収束していくと想定したため。
但し、こうした先行きの見通しについては、感染症の帰趨や内外経済に与える影響によって変わり得る為、不透明感は強い。
<銅事情>
4月の銅相場は大幅上昇。8,700ドル台でスタートした後、米景気回復期待や、チリで新型コロナウイルスの感染が再拡大し、国境が閉鎖されたことで供給懸念が広がり、休場明け6日に、200ドル超上昇。9,000ドルを挟んで動いたが、中旬、米株式が最高値を更新する中、複数の投資銀行が銅相場に対して強気の見方を示すと、9,400ドル台に上昇。更に終盤は、チリの供給懸念やLME在庫の減少、ドル安、中国の好調な需要、FRBのコロナウイルス対策の金融支援継続方針等、上げ材料が重なり、約10年ぶりに10,000ドルの大台まで上昇した。4月末のLME銅相場は9,949ドル、4月平均のLME銅相場は9,336ドルとなった。4月のLME銅在庫量は、1日の14万トン台から増加傾向であったが、13日の17万t台をピークに減少に転じ、4月末のLME銅在庫量は、月初在庫量を割り込む、137,000トンとなった。
4月の国内銅建値は、3月末から1万円下げの102万円/トンでスタートし、7日にプラス2万円の104万円/トン、12日にマイナス1万円の103万円/トン、16日にプラス3万円の106万円/トン、21日にマイナス1万円の105万円/トン、26日にプラス3万円の108万円/トンとなり、4月平均の銅建値は、104.5万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2020年 11月:77.6万円/t 12月:84.8万円/t 2021年 1月:87.0万円/t 2月:91.8万円/t 3月:102.2万円/t 4月:104.5万円/t。
2021年5月の国内銅建値は、4月末から10万円上げの118万円/トンでスタート。