市況動向

銅事情 9月号

2018年9月12日 資材委員会提供

<8月の国内事情>

 内閣府は2018年4~6月期の実質GDP速報値を前期比0.5%増(年率換算1.9%増)と発表し、2四半期ぶりにプラス成長となった。内外需別の寄与度は内需が0.6%分押し上げたのに対して、外需は0.1%分押し下げた。需要項目別の動向は、内需では自動車やエアコンなどの需要が好調だったことから、個人消費が0.7%増と1~3月期の0.2%減からプラスに転じた。民間の設備投資も1.3%増と1~3月期の0.5%増から伸び率が拡大し、7四半期連続でのプラス成長となったが、住宅投資と公共投資は4四半期連続のマイナス成長となっている。外需は輸出が0.2%増と8四半期連続で増加したが、輸入が1.0%増となったことで、外需の寄与度は0.1%マイナスとなった。
 一方、7月以降は米国発の貿易摩擦、トルコなど新興国の通貨下落に伴い、世界経済の悪化が懸念されている中で、4~6月期の米国経済は個人消費が大きく伸び、失業率も低下して、好調に推移しており、今後も着実な成長が見込まれている。また、中国は政府主導のインフラ投資拡充など景気優先の経済運営を行っており、米中を中心とした底固い海外経済を追い風に輸出は今後も堅調に推移するものと思われる。また、国内消費は7月の西日本豪雨や連日の猛暑が押し下げ要因になっているものの、良好な雇用環境が消費を下支えし、プラス基調が続くものと思われる。
 8月の日経平均株価は22,000~23,000円で推移していたが、トルコ・リラの急落を受けて世界的な株安となり、21,851円まで下落した。月末にかけては米株高を反映して22,800円台まで上昇し、8月の日経平均株価は22,865円だった。

<銅事情>

 8月のLME注1銅相場は米中貿易摩擦が地合を圧迫していたが、中国の経済指標が好転したことから、6,200ドル台まで上昇した。その後は、トルコ通貨危機、新興国の経済不安、ドル高、チリ・エスコンディダ銅山の労働争議決着などを反映して、一気に5,800ドル台まで下落したが、北米自由貿易協定に米・メキシコ間で合意し、リスク選好が改善されたことが相場の支援材料となり、月末には6,000ドルを回復した。
 LME銅在庫量は月初25.4万トンから月末26.6万と大きな増減はなかった。
 8月の国内銅建値はプラス2万円の75万円/トンでスタートし、3日にマイナス2万円の73万円/トン、8日にマイナス1万円の72万円/トン、15日にマイナス1万円の71万円/トン、20日にマイナス2万円の69万円/トン、23日にプラス1万円の70万円/トン、28日にプラス2万円の72万円/トンとなり、一時は昨年6月以来の60万円台に突入したが、すぐに70万円台に回復し、8月の平均建値は71.6万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年3月:76.5万円/t 4月:77.8万円/t 5月:79.7万円/t 6月:81.0万円/t 7月:74.0万円/t 8月:71.6万円/t)となり、2018年9月の国内銅建値はマイナス1万円の71万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

過去の銅事情