銅事情 7月号
2024年07月04日 資材委員会提供
<6月の国内事情>
日銀が7月1日に発表した2024年6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス13となり、2期ぶりに改善。改善幅は前回3月調査から2ポイントで、素材産業である「紙・パルプ」「窯業・土石製品」などは価格転嫁が進展、「はん用機械」「業務用機械」からは設備投資関連投資の需要が堅調だったとの声が聞かれた。先行きはプラス14と小幅の改善を見込む。自動車や半導体の生産回復を期待する声が聞こえた。大企業・非製造業はプラス33で小幅ながら悪化。悪化は16期ぶり。「小売」の悪化が目立ち、値上げによる買い上げ点数の減少に関する指摘が有った。改善した「運輸・郵便」「電気・ガス」からは価格転嫁の進展が聞かれている。先行きはプラス27で、原材料やエネルギーコスト、人手不足や人件費増加、インバウンド需要の持続性に対する懸念から6ポイントの悪化となっている。企業の事業計画の前提となる想定為替レートは、2024年度通期1ドル=144.77円(全規模・全産業)で、3月調査の141円42銭から3円超円安方向に振れた。24年度の全規模・全産業の設備投資計画は前年比+8.4%で、大企業・製造業では+18.4%、大企業・非製造業では+7.0%となった。企業の販売価格判断DIは大企業・中小企業ともに上昇し、原材料価格や人件費などのコストを価格転嫁する動きが進んでいることを示唆している。大企業・製造業はプラス29で6期ぶりの上昇、非製造業もプラス29で2期連続の上昇。一方先行きでは大企業製造業がプラス27に鈍化する一方で、中小企業では製造業・非製造業ともプラス幅を拡大する見通し。仕入価格判断DIでは大企業の製造業・非製造業がともに2期連続の上昇だった。雇用人員判断DIは大企業の製造業が前回から1ポイント下落のマイナス18、非製造業も2ポイントの下落のマイナス39であったが、中堅企業と中小企業の全産業では各々が1ポイント回復しており、全規模・全産業がマイナス35の1ポイントの回復となった。
<銅事情>
6月の銅価格は、前月末の10,000ドル付近から500ドル強下落し、5.1%の下落となった。LME銅在庫量の大幅増加に加え、上海先物取引所の銅在庫量も2020年以来の高水準に増加、中国の5月の工業生産も予想に届かないなど、中国内需の鈍化が示された事により、下降トレンドとなった。ドル安により上昇する場面もあったが、5月度米雇用統計で雇用者数が予想を大幅に上回り、米利下げ観測後退によるドル高の局面では、相場を更に下押しした。6月末のLME銅価格は9,476ドル、6月平均のLME銅価格は9,642ドルとなった。6月のLME銅在庫量は、第1週9,325トン増、第2週11,350トン増、第3週31,150トン増、第4週12,225トン増と右肩上がりで増加し、前月末対比で55.2%の大幅増となった。6月末のLME銅在庫量は、180,050トンとなった。
6月の国内銅建値は、5月末からマイナス7万円の162万円/トンでスタートし、5日にマイナス5万円の157万円/トン、7日にプラス4万円の161万円/トン、11日にマイナス3万円の158万円/トン、14日にマイナス1万円の157万円/トン、21日にプラス3万円の160万円/トン、25日にマイナス3万円の157万円/トンとなり、6月平均の銅建値は、158.4万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2024年 1月:126.5万円/t 2月:129.4万円/t 3月:134.2万円/t 4月:148.2万円/t 5月:164.4万円/t 6月:158.4万円/t。
2024年7月の国内銅建値は、6月末と同様の、157万円/トンでスタート。