銅事情 3月号
2021年03月05日 資材委員会提供
<2月の国内事情>
内閣府が発表した2020年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質の季節調整値で前四半期(7-9月期)から3.0%増、年率換算では12.7%増となった。これは、2四半期連続のプラス成長ではあるものの、その水準は新型コロナウイルスの感染拡大前には届かない。なお、2020年通年では4.8%減と11年ぶりのマイナス成長となった。10-12月期の成長率は比較可能な94年4-6月期以降では2番目の大きさであり、高水準を維持している。内需が2.0%分、外需が1.0%分を押し上げた結果によるものである。輸出が中国経済の回復を追い風に2四半期連続で増加(11.1%増)、設備投資は半導体製造装置などの生産用機械への支出が寄与し、3四半期ぶりに増(4.5%増)、個人消費は12月まで続いた政府の需要喚起策「GO TOキャンペーン」など政策の後押しもあり2四半期連続で増(2.2%増)となった。
但し1-3月期では、新型コロナウイルスの変異株流行で欧米諸国はロックダウン(都市封鎖)など行動規制を再び強化。日本では緊急事態宣言の再発令による飲食店を中心とする時短営業や不要不急の外出自粛といった措置がとられたことにより再びGDPはマイナス成長がみこまれている。
<銅事情>
2月の銅相場は、1,300ドル超の上昇。7,800ドル台で始まり、出だしこそ中国の低調な経済指標により弱含みだったが、米国の追加経済対策への期待や米国株式市場の高値更新、低調なLME在庫により、8日には終値で8,000ドルを突破。その後も、世界経済に対する見方は楽観的で、中国の旧正月明け後もリスク選好が継続し、22日には終値で9,000ドルを突破。25日には、9年半ぶりの9,600ドル台をつけたが、米国の長期金利上昇が嫌気され、月末には400ドル超下落した。2月末のLME銅相場は9,172ドル、2月平均のLME銅相場は8,460ドルとなった。2月のLME銅在庫量は、75,000トンを挟んで低位安定。23日には、80,000トン目前まで増加したが、月末に向けて減少を続け、2月末のLME銅在庫量は、1月末同様の、74,000トンとなった。
2月の国内銅建値は、1月末から1万円下げの86万円/トンでスタートし、4日にプラス1万円の87万円/トン、9日にプラス2万円の89万円/トン、15日にプラス3万円の92万円/トン、17日にプラス2万円の94万円/トン、24日にプラス8万円の102万円/トンとなり、2月平均の銅建値は91.8万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2020年 9月:75.0万円/t 10月:75.2万円/t 11月:77.6万円/t 12月:84.8万円/t 2021年 1月:87.0万円/t 2月:91.8万円/t。
2021年3月の国内銅建値は、2月末から1万円下げの101万円/トンでスタート。