銅事情 5月号
2019年5月9日 資材委員会提供
<4月の国内事情>
日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、実質GDP成長率見通しを2019年度は前年度比0.8%増、2020年度は前年度比0.9%増、2021年度は前年度比1.2%増と発表した。2019年度は海外経済の減速の影響を受け、輸出が弱めの動きとなり、設備投資も製造業を中心に鈍化することが見込まれる中、個人消費は消費税率引き上げ前に駆け込み需要による増加を予測しているが、消費増税後は個人消費、住宅投資の停滞が予測されている。公共投資はオリンピック関連需要や自然災害を受けた補正予算の執行、国土強靭化政策への支出拡大から増加するとしている。2020年度以降については海外経済の緩やかな成長に準じて輸出も徐々に回復し、また緩和的な金融環境のもとでの能力増強投資、都市再開発投資、省力化投資などの設備投資も緩やかに増加していくと予測しており、経済全体としては緩やかな拡大が予測されている。一方、消費増税の影響を入れた2019年度の物価上昇率見通しは前年度比1.1%増、2020年度は前年度比1.4%増、2021年度は前年度比1.6%増とし、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると弱めの動きとなっており、目標としている前年度比2%増には届かなかった。
<銅事情>
4月のLME銅相場は、中国PMI(購買担当者指数)の高水準から3営業日続伸し、6,500ドルを伺う展開で始まったが、ペルーでの抗議活動が終結の見通しとなり、供給懸念が解消、銅相場は6,430ドルまで反落した。その後は米中貿易協議の進展期待が相場を支援する中、LME在庫の急増や主要国経済の成長見通し悪化で需要見込みは減退したが、ドル安が相場を支援し、6,497ドルまで上昇した。9日にはIMF(国際通貨基金)が2019年の世界経済見通しを3.3%(1月発表から0.2ポイント下方修正)と発表したが、長引く米中貿易協議や英国のEU離脱問題など世界経済の先行きが不透明なことから銅相場は軟化した。17日には中国国家統計局が発表した1-3月期の中国GDPは対前年同期比6.4%増で、中国経済の成長への期待感から銅相場は続伸し、6,500ドルの壁を超えたが、18日には4月のユーロ圏PMI速報値が51.3と2カ月連続での低下となり、ユーロ圏の景況感悪化から非鉄全般に売り圧力が強まり、4月末には6,400ドルを割り込み、4月平均のLME銅相場は6,445ドルだった。
LME銅在庫量は3月末の16万9,000トンから3万トン増加し、その後は大きな増減はなく、4月末の銅在庫量は19万6,000トンとなった。
4月の国内銅建値はプラス2万円の76万円/トンでスタートし、4日にプラス1万円の77万円/トン、11日にマイナス1万円の76万円/トン、16日にプラス1万円の77万円/トン、24日にマイナス1万円の76万円/トンとなり、4月の平均建値は76.5万円/トンだった。
直近6か月の平均建値は、(2018年11月:74.4万円/t 12月:72.7万円/t 1月:69.2万円/t 2月:73.4万円/t 3月:75.9万円/t 4月:76.5万円/t)となり、2019年5月の国内銅建値はマイナス2万円の74万円/トンでスタートした。