銅事情 12月号
2021年12月03日 資材委員会提供
<11月の国内事情>
内閣府が発表した2021年7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)が、前期4~6月期に比べ0.8%減で、2四半期ぶりのマイナス成長となった。このままのペースで1年間続くと仮定した年率換算値では、3.0%減とであった。これは、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化したために緊急事態宣言などで個人消費が大きく落ち込み、自動車の減産もあり、輸出も伸び悩んだため。GDPの5割超を占める個人消費は、前期比1.1%減と、2四半期ぶりに減少した。世界的な半導体不足の影響や東南アジアでのコロナ感染拡大による部品供給遅れをうけた自動車減産による販売減が響いたほか、パソコン需要が一服するなど家電も落ち込み、耐久財は、13.1%減で2四半期ぶりに減少し、衣服などの半耐久財も5.0%減となった。また、内需のもうひとつの柱である設備投資についても3.8%減で、やはり2四半期ぶりのマイナスとなっている。
10月以降はコロナ感染者の急減もあり緊急事態宣言が解除されて人出も戻ってきており、飲食店でも時短営業の制限がなくなり酒類提供が再開したため、次期(10~12月期)は個人消費を中心に持ち直すとも想定され、プラス成長に転じる見通し。
<銅事情>
11月の銅相場は、前月対比キャッシュセツルメントで、350ドルの下落となった。序盤は、中国需要への懸念などから弱含みで推移。その後は、米国の1兆ドルのインフラ投資法案の議会通過やLME在庫の減少で、10,000ドルまで上昇したが、米利上げ観測とドル高により下落した。中旬以降は、LME在庫の減少を背景に再び上昇に転じたものの、月末にかけて、新型コロナウイルスのオミクロン株が確認されたことで、世界経済減速の懸念が広がり弱含んだ。11月末のLME銅相場は9,605ドル、11月平均のLME銅相場は9,765ドルとなった。11月のLME銅在庫量は、1日に前月末比マイナス7,000トン超の12万トン台となった後、減少傾向。12日に10万トン割れ、18日に9万トン割れ、29日には8万トンを割り込み、11月末のLME銅在庫量は、前月同様、前月末から約4割減少し、78,625トンとなった。
11月の国内銅建値は、10月末からマイナス2万円の117万円/トンでスタートし、5日にマイナス2万円の115万円/トン、9日にプラス2万円の117万円/トン、11日にマイナス2万円の115万円/トン、15日にプラス2万円の117万円/トン、17日にマイナス2万円の115万円/トン、24日にプラス3万円の118万円/トンとなり、11月平均の銅建値は、116.5万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2021年 6月:111.1万円/t 7月:108.8万円/t 8月:107.5万円/t 9月:107.9万円/t 10月:115.3万円/t 11月:116.5万円/t。
2021年12月の国内銅建値は、11月末から5万円下げの113万円/トンでスタート。