市況動向

銅事情 6月号

2019年6月10日 資材委員会提供

<5月の国内事情>

 内閣府は2019年1-3月期の実質GDP速報値を前期比0.5%増(年率換算2.1%増)と発表し、2四半期連続でのプラス成長となった。内外需別の寄与度は、内需0.1%増、外需0.4%増となり、内需は2四半期連続、外需は4四半期ぶりにプラスに寄与した。需要項目別の動向は、個人消費は0.1%減と2四半期ぶりのマイナス、住宅投資は1.1%増と3四半期連続でプラス、設備投資は米中貿易摩擦の影響から0.3%減と2四半期ぶりのマイナスとなった。輸出は海外経済の減速から2.4%減、輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となり、輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったことで、GDPへの寄与度はプラスとなった。2018年度の実質GDP成長率は、前年度比0.6%増と成長率は鈍化(2017年度は前年度比1.9%増)したが、4年連続でのプラス成長となった。需要項目別の前年度比は、個人消費0.4%増、住宅投資4.2%減、設備投資3.2%増、公共投資3.8%減、輸出1.3%増、輸入2.0%増だった。
 5月の為替相場は、米トランプ政権が中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げたことに対して中国政府も600億ドル分の追加関税で応酬したことから、低リスク通貨とされる円が買われ、ドル円レートは一時109円台まで円高が進んだ。その後は米国経済指標が好転したことで、米経済への上向き期待からドルは買われ、110円台で推移した。

<銅事情>

 5月のLME銅相場は5営業日続落して始まり、6,100ドル台まで下落した。その後も米中貿易摩擦の拡大を背景に売り圧力が強まり、6,000ドル台での攻防が続いていたが、米政府が中国ファーウェイと米国企業の取引禁止を打ち出したことで、米中関係の先行きは一層不透明となり、市場の買い気配は後退した。月末には、中国がレアアースの輸出制限を示唆したことで、米中貿易摩擦の激化懸念が更に強まり、非鉄商品相場は全面的な売り越しとなり、米国がメキシコからの輸入品に制裁関税を課す方針を示唆したことも投資家心理を後退させた。5月末のLME銅相場は5,823ドルとなり、5月平均のLME銅相場は4月平均から400ドル超値下がりして、6,028ドルとなった。
 5月のLME銅在庫量は第2週から連日減少して、20万トンを割り込み、18万トン台で推移していたが、月末に2万7,000トン増加したことで、5月末の銅在庫量は21万2,000トンとなった。
 5月の国内銅建値は、GW明け7日にマイナス2万円の74万円/トンでスタートし、9日にマイナス2万円の72万円/トン、14日にマイナス2万円の70万円/トン、17日にプラス1万円の71万円/トン、23日にマイナス1万円の70万円/トンとなり、5月の平均建値は70.9万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年12月:72.7万円/t 1月:69.2万円/t 2月:73.4万円/t 3月:75.9万円/t 4月:76.5万円/t 5月:70.9万円/t)となり、2019年6月の国内銅建値はマイナス3万円の67万円/トンでスタートした。


過去の銅事情