市況動向

銅事情 12月号

2019年12月9日 資材委員会提供

<11月の国内事情>

 内閣府は2019年7-9月期の実質GDP速報値を前期比0.1%増(年率換算0.2%増)と発表し、4四半期連続でのプラス成長を維持したが、4-6月期の前期比0.4%増からは伸びが鈍化した。内外需別の寄与度でみると、内需が前期比0.2%増と4四半期連続でのプラス寄与となったのに対して、外需は前期比0.2%減と2四半期連続でのマイナス寄与となった。
 需要項目別の動向は、内需では個人消費が0.4%増と2四半期連続でのプラスとなり、自動車や家電などの耐久財は前期比3.2%増、衣料品や家具などの半耐久財は前期比1.7%増と消費増税前の駆け込み需要があったと推定されるが、食料品などの非耐久財は軽減税率導入の影響もあり、前期比0.3%減と弱い動きとなった。設備投資は人手不足を背景として省力化・合理化投資が引き続き活発で前期比0.9%増と2四半期連続でのプラス成長となった。一方、外需では輸出が日韓関係の悪化による訪日客の減少、米中貿易摩擦の長期化などの影響を受けて前期比0.7%減と2四半期ぶりに減少したが、輸入は堅調な内需や増税前の駆け込み需要を背景に前期比0.2%増と2四半期ぶりに回復した。


<銅事情>

 11月のLME銅相場は米中貿易協議を巡る楽観的な見通しが相場を後押ししたことに加え、米中による追加関税の段階的撤廃発表を受け、5営業日続伸して、6,000ドルを伺う展開だったが、香港でのデモ激化が投資家心理を後退させ、大幅反落した。その後は米中貿易協議の進展期待が弱まる中、中国経済指標の伸び悩みに加えて、香港情勢も不安定なことから上値は重かった。月末に向けては香港情勢の混迷、米中貿易協議の不透明感などが相場を下押ししたが、中国の利下げや7-9月期の米国GDPの上方修正などが相場を下支えし、11月平均のLME銅相場は5,858ドルで、10月平均の5,738ドルから2%強上昇した。
 11月のLME銅在庫量は10月末の27万トンから連日減少し、11月末のLME銅在庫量は21万1,000トンとなり、5か月ぶりの低水準となった。
 11月の国内銅建値は、1日にマイナス1万円の67万円/トンでスタートし、6日にプラス2万円の69万円/トン、12日にマイナス1万円の68万円/トン、15日にマイナス1万円の67万円/トン、20日にプラス1万円の68万円/トン、27日にプラス1万円の69万円/トンとなり、11月の平均建値は68.1万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2019年6月:67.6万円/t 7月:68.8万円/t 8月:65.3万円/t 9月:65.8万円/t 10月:66.3万円/t 11月:68.1万円/t)となり、2019年12月の国内銅建値はマイナス1万円の67万円/トンでスタートした。



過去の銅事情