市況動向

銅事情 4月号

2018年4月10日 資材委員会提供

<3月の国内事情>

 日銀が発表した3月短観の大企業製造業の業況判断DIは12月調査の26%ポイントから24%ポイントとなり、8四半期ぶりに悪化した。それぞれの業種で要因は様々であるが、円高進行、足元の輸出と生産の弱さ、原油高や物流費上昇によるコスト増などが業況判断悪化の要因と考えられる。また、大企業非製造業の業況判断DIも12月調査から2%ポイント悪化し、23%ポイントとなり、堅調なインバウンド需要が下支えする一方で、住宅投資や公共投資の弱さ、人件費・物流費の上昇などがマイナスに作用したものと考えられる。先行きについても全産業で慎重な姿勢が続いており、円高進行の影響、不安定なグローバル金融市場、米国輸入制限による貿易摩擦の激化などが企業の業況感の重石となっている。
 一方、地政学リスクとされていた北朝鮮情勢は、平昌オリンピックを契機に南北友好ムードが高まる中、韓国の橋渡しで5月までに米朝首脳会談を行う意向をトランプ大統領が表明した。3月末には金正恩委員長が電撃的に中国を訪問し、習近平国家主席と会談、米朝首脳会談に向けて中朝関係を再構築した。
 為替相場は、米中の貿易摩擦に対する警戒感が強まり、リスクを回避する形で円買いが進行し、一時は1ドル=104円台まで円高が進んだが、貿易摩擦を回避する方向で調整されたこともあり、3月末のNY円相場は1ドル=106円25~35銭で取引を終えた。
 日経平均株価は、2017年度ベースでは2,545円上昇し、2期連続でのプラスとなったが、米中の貿易摩擦を懸念した売りが膨らみ、3月月間では613円下落した。

<銅事情>

 LME注1銅相場は米国の鉄鋼、アルミニウムの輸入制限措置もあり、6,800-7,000ドルで推移していたが、上値の重い展開が続く中、米中間貿易摩擦の激化懸念やチリ銅山賃金交渉の進展などで相場は軟化し、6,500ドルを割り込む場面もあった。
 LME銅在庫量は31-33万トン前後で推移していたが、月末3日間で約7万トン増加し、3月末の在庫量は38万3,000トンだった。
 国内銅建値はマイナス2万円の78万円/トンでスタートし、9日にマイナス2万円の76万円/トン、14日にプラス2万円の78万円/トン、19日にマイナス1万円の77万円/トン、23日にマイナス2万円の75万円/トン、28日にマイナス1万円の74万円/トンとなり、3月の平均建値は76.5万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2017年10月:81.2万円/t 11月:81.3万円/t 12月:81.0万円/t 1月:82.5万円/t 2月:80.1万円/t 3月:76.5万円/t)となり、2018年4月の国内銅建値はプラス2万円の76万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

過去の銅事情