市況動向

銅事情 10月号

2016年10月19日 資材委員会提供

<9月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、9月の現状判断DIは、家計動向関連で飲食関連等が低下した一方、企業動向関連DIと雇用関連DIについては上昇し、全体では前月比0.8ポイント低下の44.8ポイントとなった。また9月の先行き判断DIは、家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIがそれぞれで上昇したことにより前月比1.1ポイント上昇の48.5ポイントとなった。尚、季節調整値でみると現状判断DIは前月比0.3ポイント上昇の46.3ポイントとなり、先行き判断DIは前月比0.7ポイント上昇の49.6ポイントとなった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は持ち直しの動きがみられるが、先行きについては引き続き海外経済や金融資本市場の動向等への懸念がある一方、旅行・観光分野の回復、受注や求人増加の継続等への期待がみられる」とまとめられた。
 また、日本電線工業会がまとめた2016暦年上半期(1〜6月)のエコマテリアル(EM)電線の出荷実績によると、銅量で前年同期比6.8%減の1万6,754トン、金額で前年同月比17.1%減の190億800万円と落ち込んだ。一方、銅電線出荷量全体に対するEM電線の出荷比率は対前年同期比0.1%減とし5.0%台を辛うじて保った。8月の銅電線全体出荷量(速報値)は、前年同月比で1.0%増の5万3,700トンと9ケ月ぶりにプラスに転じた。自動車部門での出荷が2桁の大幅増になったことと主力出荷部門である建設電販部門の落ち込みが、大幅に縮小されたことによる。


 

<銅事情>

 9月に入ってLME注1銅相場は、前月後半からLME在庫量の急増やFRBでの早期追加利上げ観測、中国での過剰供給と需要不安から軟調推移のまま前半を経過する。特にLME在庫は、中国の銅地金輸出が前年同月比で5月は3.5倍の8万5千トン、7月は5倍の7万5千トンと急増したことにより大きく膨らみ2015年10月以来の30万トン(6月初旬15万トン台から倍増)を突破し、上値を4,700ドル台とした上値の重い展開となった。その後、中盤には中国経済指標の改善や後半でのFRB(米連邦準備制度理事会)での追加利上げの見送りの決定、それに伴う投資家心理の改善で銅相場は堅調に推移した。29日にはOPEC(石油輸出国機構)が非公式会合で石油の生産調整に合意したとの情報から原油相場は急伸しリスク先行基調となった。
 また、LME在庫は月を通じて増加推移となり月末には2013年12月以来の在庫量である、38万トンに届くところまでの在庫レベルとなった。
 2016年9月の国内銅相場は、前月末の51万円/トンから1日にプラス1万円の52万円/トンとしてのスタート、15日には更にプラス1万円の53万円/トンとした。10月に入り6日には1万円プラスの54万円/トン、14日にはマイナス1万円の53万円/トンとし現在に至る。
 2016年9月平均建値は52.5万円/トンとし前月と比べ0.1万円/トンのマイナスとなった。
 直近6か月の平均建値(2016年: 4月:58.1万/トン 5月:55.2万/トン  6月:53.4万/トン 7月:54.8万/トン 8月:52.6万/トン 9月:52.5万/トン)


  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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