市況動向

銅事情 8月号

2018年8月9日 資材委員会提供

<7月の国内事情>

 日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、2018年度については、緩和的な金融環境のもと、景気拡大に沿った能力増強投資、オリンピック関連投資、人手不足に対応した省力化投資などを中心とした設備投資の増加は続くと予想している。個人消費も雇用・所得の改善が続くもとで、緩やかな増加傾向をたどるとしている。公共投資は2017年度補正予算やオリンピック関連需要もあり、高めの水準を維持すると予想しており、輸出についても海外経済の着実な成長を背景に緩やかな増加を予想している。設備投資、個人消費、公共投資、輸出の全てが増加基調であることから、国内経済は潜在成長率を上回る成長が続く見込みとしている。
 2019年度から2020年度にかけては、設備投資の循環的な減速、オリンピック関連需要の一巡、消費税率引き上げによる個人消費の落ち込みなどから成長ペースは鈍化するが、堅調な海外経済の成長を背景に輸出は増加基調が継続し、国内経済の増勢ペースは鈍化するものの緩やかな拡大基調は続く見込みとしている。こうした中で7月に発生した西日本豪雨による被害は甚大で、長期間にわたり、国内経済にも非常に大きな影響を及ぼすものと思われる。
 一方、7月の為替相場はFRBパウエル議長が米国経済は力強いペースで拡大していくとの見通しから利上げ継続の意向を示したことで円売りドル買いが加速し、一時は114円台まで円安は進行したが、FRBの金融政策を批判したトランプ大統領の発言から円買いドル売りの展開となり、その後は111円~112円台で月末まで推移した。
 日経平均株価は米株高、円安を追い風に節目の23,000円に迫る場面もあったが、利益確定売りから上値は重く、7月末の日経平均株価は22,553円となり、1ヶ月間で3.4%上昇した。

<銅事情>

 7月のLME注1銅相場は、6,595ドルでスタートしたが、米中の貿易摩擦激化により、中国経済の先行きに対して消費減速の警戒感が強まり、相場を圧迫、ドル高も重石となり、6,000ドルを割る場面もあった。その後は、中国政府のインフラ投資支援策やドル軟化が相場を支援して、LME銅相場は6,200ドル台まで回復したが、中国需要の先行き懸念は潜在化しており、7月末のLME銅相場は6,185ドルと1ヶ月間で6.2%下落し、7月平均値は6249.9ドルだった。
 LME銅在庫量は29万トンから連日減少して、7月末の在庫量は25.6万トンだった。
 7月の国内銅建値は据え置きの78万円/トンでスタートし、5日にマイナス3万円の75万円/トン、12日にマイナス2万円の73万円/トン、20日にマイナス1万円の72万円/トン、25日にプラス1万円の73万円/トンとなり、7月の平均建値は74.0万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年2月:80.1万円/t 3月:76.5万円/t 4月:77.8万円/t 5月:79.7万円/t 6月:81.0万円/t 7月:74.0万円/t)となり、2018年8月の国内銅建値はプラス2万円の75万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

過去の銅事情