銅事情 10月号
2021年10月06日 資材委員会提供
<9月の国内事情>
日銀が発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)で大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がプラス18と前回(6月)調査時点のプラス14から4ポイント改善した。ポイント改善は5四半期連続となり、2020年6月に新型コロナウイルス感染拡大の影響によりマイナス34ポイントまで落ち込んだものの、その後は改善が続いている。主要16業種のうち11業種で改善しており、IT(情報技術)需要が後押しし、電気機械や業務用機械などの業種が好調であったが、東南アジアの感染拡大により半導体部品の供給制約を受けたため、自動車はマイナス7ポイントと前回調査より10ポイント悪化した。一方、大企業非製造業は、プラス2と前回調査時点のプラス1から小幅の改善となった。これは製造業と同様に5四半期連続の改善となったものの、コロナ禍前の水準には未だ及ばない状態。主要12業種のうち改善したのは4業種であり、東京オリンピック・パラリンピックの警備受容などで対事業所サービスが大きく改善した。但し、調査時点では、緊急事態宣言の解除が未発表であったことも影響し、レジャー施設などの対個人サービスは悪化した。
先行きについては、緊急事態宣言解除により、対個人サービスや宿泊・飲食サービスについては大幅な改善が見込まれるものの、半導体部品などの供給制約や原材料価格の高騰もあり、木材・木製品、非鉄金属、化学など幅広い業種において悪化が見込まれている。
<銅事情>
9月の銅相場は、終値で9,600ドル台まで上昇後、下落した。アジアや欧州の統計で8月の生産活動の鈍化が示され、初日は、8月末から150ドル安の9,300ドル台となった。雇用者増加数が予想外に下振れた8月の米雇用統計を受けて、FRBが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、テーパリングを決める可能性が低下したとの観測から、13日までには、9,600ドル台まで上昇したが、その後は中国で、大手不動産開発会社、恒大集団の債務問題や電力不足が発生し、市場心理が悪化した。9月末のLME銅相場は9,041ドル、9月平均のLME銅相場は9,324ドルとなった。9月のLME銅在庫量は、8月末同様の25万トン台で始まった後、23万トン台まで減少し、10日と16日に24万トンに戻す場面もあったが、中旬以降は再び減少し、9月末のLME銅在庫量は、217,175トンとなった。
9月の国内銅建値は、8月末からプラス3万円の110万円/トンでスタートし、3日にマイナス2万円の108万円/トン、9日にマイナス1万円の107万円/トン、13日にプラス4万円の111万円/トン、15日にマイナス3万円の108万円/トン、21日にマイナス5万円の103万円/トン、27日にプラス5万円の108万円/トンとなり、9月平均の銅建値は、107.9万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2021年 4月:104.5万円/t 5月:115.7万円/t 6月:111.1万円/t 7月:108.8万円/t 8月:107.5万円/t 9月:107.9万円/t。
2021年10月の国内銅建値は、9月末から4万円下げの104万円/トンでスタート。