市況動向

銅事情 11月号

2016年11月18日 資材委員会提供

<10月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、10月の現状判断DIは、家計動向関連DIでの小売関連、サービス関連等が上昇、企業動向関連DIでは製造業等が上昇、雇用関連DIについても上昇したことから前月比1.4ポイント上昇の46.2ポイントとなった。9月の先行き判断DIは、家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIが上昇したことにより前月比0.5ポイント上昇の49.0ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは前月比3.0ポイント上昇の49.3ポイントとなり、先行き判断DIは前月比1.5ポイント上昇の51.4ポイントとなった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「持ち直している。先行きについては、一部には燃料価格などコストの上昇等への懸念があるものの、受注や求人増加の継続等への期待がみられる」とまとめられた。また、日本電線工業会は10月5日、「2016年度銅電線需要見通し」を発表。内需、輸出合計で当初見通しの71万1,000トンから前年比1.6%減の68万8,000トンに下方修正した。部門別には建設電販部門での首都圏大型案件やオリンピック件名需要に向けての需要端境期に差し掛かかったこと、新エネルギー部門ではメガソーラー建設需要がピークを過ぎたこと、電機部門では円高やインバウンド消費の減速感からそれぞれ低調な推移と予測された。


 

<銅事情>

 10月に入ってLME注1銅相場は、前月末のOPECでの8年ぶりに原油減産合意されたことにより原油先物相場が反発したことから非鉄金属の地合も好転4,800ドル台に伸ばすこととなった。その後は米国経済統計の好調さからドルが総じて強くなったこと、また原油相場や株式の好調な内容からリスク選好ムードから銅相場は4,800ドル付近で頭を抑えられる展開となった。その後、FOMCでの年内利上げ可能性を示した議事やECB(欧州中央銀行)が金融政策を現状維持することへの観測から相場は4,600ドル前半に向けて下落推移を辿った。
 最終週には、中国国内銅市場で需給が逼迫しているとのことから需要拡大予測が強まったこと、また同国での追加景気刺激策への期待から相場は大きく反発し上値抵抗線であった4,721ドル(13週移動平均線)及び4,724ドル(26週移動平均線)を突破することとなった。
 LME在庫は、月初の2013年12月以来の高水準であった37万9,000トンをピークに減少に転じ月末には33万1,000トンと1か月で約4万8,000トンの減少となり、相場の下支えとなった。
 2016年10月の国内銅相場は、前月末の53万円/トンから1日に据え置きの53万円/トンとしてのスタート、その後6日にはプラス1万円の54万円/トンへ再び14日にはマイナス1万円の53万円/トンとした。以降は11月に入り1日には2万円プラスの55万円/トン、7日にはプラス1万円の56万円/トン、10日には米国大統領選挙でのトランプ氏当選の影響を受けてのプラス6万円の62万円/トンと急騰、更に15日にもプラス1万円の63万円/トンとし現在に至る。 2016年10月平均建値は53.3万円/トンとし前月と比べ0.8万円/トンのプラスとなった。
 直近6か月の平均建値(2016年:5月:55.2万/トン  6月:53.4万/トン 7月:54.8万/トン 8月:52.6万/トン 9月:52.5万/トン 10月:53.3万/トン)


  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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