銅事情 5月号
2022年05月13日 資材委員会提供
<4月の国内事情>
日銀は、4月に公表した「経済・物価情勢の展望レポート」において、2021年度の実質国内総生産(GDP)の見通しについては、プラス2.1%と前回1月公表値(プラス2.8%)から下方修正とした。2022年度についても、新型コロナウイルスの感染再拡大に加え、資源価格の上昇の影響もあり、プラス2.9%とし、22年1月公表値のプラス3.8%からの下方修正とし、2023年度については、22年度のマイナスの反動で、プラス1.9%とし、前回1月公表値(プラス1.1%)からの上方修正とした。さらに2024年度については、プラス1.1%と見込んでいる。一方、2022年度消費者物価指数(コアCPI)の見通しについては、プラス1.9%と前回1月公表値(プラス1.1%)から引き上げた。これは、携帯電話通信料下落の影響の剥落とエネルギー価格の大幅な上昇の影響により、2%程度まで上昇率を高めると見込んだ為である。2023年度はプラス1.1%とし、前回公表値と変らず、2024年度は、プラス1.1%と見込んでいる。これはエネルギー価格の押し上げ寄与の減衰にともない、プラス幅を縮小していくと予想したためである。
なお、物価のリスク要因では、引き続き変異株を含む感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要とした。また、今後のウクライナ情勢の展開や、そのもとでの資源価格や国際金融資本市場、海外経済の動向についても不確実性は、極めて高いとしている。
<銅事情>
4月の銅相場は、終盤にかけて弱含み、前月末比500ドル超の下落となった。序盤、最大供給国であるチリの生産量減少による供給不安から、4月終値の最高値となる10,400ドル台となった。その後は、中国でのロックダウンによる需要減の懸念と、中国政府による景気刺激策への期待との綱引きで一進一退となり、10,300ドルを挟んだ値動きとなった。しかし中国需要の懸念に加え、米国の利上げ観測によるドル高で、25日終値で10,000ドルを割り込むと、弱含みのまま月末を迎えた。4月末のLME銅価格は9,821ドル、4月平均のLME銅価格は10,183ドルとなった。4月のLME銅在庫量は、前月末対比66.2%の増加。前月末から微増の9万5千トンレベルでスタートした後、前日比減少した日数は4日だけで、右肩上がりで増加した。増加量は週を追うごとに拡大し、1ヵ月で6万トン超の増加となった。4月末のLME銅在庫量は、156,225トンとなった。
4月の国内銅建値は、3月末からマイナス2万円の131万円/トンでスタートし、6日にプラス3万円の134万円/トン、12日にマイナス2万円の132万円/トン、14日にプラス2万円の134万円/トン、19日にプラス2万円の136万円/トン、22日にプラス1万円の137万円/トン、26日にマイナス5万円の132万円/トンとなり、4月平均の銅建値は、133.7万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2021年 11月:116.5万円/t 12月:112.8万円/t 2022年 1月:117.9万円/t 2月:119.1万円/t 3月:126.4万円/t 4月:133.7万円/t。
2022年5月の国内銅建値は、4月末から4万円下げの128万円/トンでスタート。