市況動向

銅事情 5月号

2015年5月21日 資材委員会提供

<4月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、4月の現状判断DIは、家計動向関連・企業動向関連それぞれで上昇したことから前月比1.4ポイント上昇の53.6ポイントとなった。また、先行き判断DIも、物価上昇への懸念等がみられるものの、賃上げへの期待や外国人観光需要への期待等がみられることから前月比0.8ポイント上昇の54.2ポイントとなった。以上のことから、「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、賃上げへの期待や外国人観光需要への期待等がみられる」とまとめられた。また日本電線工業会発表「2015年度の銅電線出荷量速報値」によると、2014年度の銅電線出荷量対前年比で、0.9%増の72万3,757トンになったと発表した。部門別には下期に失速したものの出荷主力部門である建設電販部門で前年比0.6%の微増、続く需要部門である電機部門も下期のマイナスが影響し0.2%の減とした。また電力部門、通信部門も前年度比マイナスとなるも、輸出部門では為替での円安が進む状況下2年連続の増加で3万トン台(対前年154%)と大きな伸びを示した。
 4月の為替相場は、前月に引き続き、低調な米雇用統計から一時ドルが売られ、ドル安を示す局面もあったが、8日に公表された3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録での、年内利上げ示唆から再びドル買い傾向となり、120円から121円のドル高安定相場となった。

 

<銅事情>

 4月のLME注1銅相場は、前月後半からのLME銅の急反発で6,000ドルを突き抜けての堅調な状況の中、今月に入って中国の経済停滞懸念、原油価格の下落、ECB(欧州中央銀行)での量的緩和策によるドル高ユーロ安といったネガティブ要因と米の利下げ先送り観測によるドル安の進行、中国市場の需要鈍化に伴う追加経済刺激策への期待といったポジティブ要因の攻防から6,000ドル付近での方向感のつかめない推移となった。またLME在庫も、年初から2倍近く増加し33万7,000トンと積み上がりこれも銅の押し下げ圧力となった。
 2015年4月の国内銅相場は、前月末の78万円/トンから1日にマイナス1万円の77万円/トンでスタート、6日にマイナス1万円の76万円/トンへ、再び9日にはプラス1万円の77万円/トンとし、15日にはマイナス1万円の76万円/トン、20日にはプラス1万円の77万円/トン、24日にマイナス1万円の76万円/トンとなった。5月からは、7日にプラス5万円の81万円/トン、13日にプラス1万円の82万円/トン、19日にはマイナス1万円の81万円/トンとしている。
 2015年4月平均建値は76.6万円/トンで前月と比べ3千円/トンのプラスとなった。直近6か月の平均建値(2014年: 11月:82.8万/トン 12月:81.6万/トン 2015年: 1月:74.6万/トン 2月:72.4万/トン 3月:76.3万/トン 4月:76.6万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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