銅事情 7月号
2025年07月16日 資材委員会提供
<6月の国内事情>
日銀が7月1日に発表した2025年6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス13で、前回2025年3月調査のプラス12から小幅の改善だった。大企業・製造業の景況感の改善は2四半期ぶり。トランプ米政権は4月5日に米国への全輸出国に基本税率10%の関税を発動したが、その影響が本格的に反映された短観は今回が初めてとなる。民間エコノミストの予想は大企業製造業で小幅悪化を予測していたが、米国の通商政策を背景とした不確実性が業況への下押し圧力となる一方で、価格転嫁の進展で企業収益が好調となったことが全体を押し上げたと見られる。業種別では鉄鋼が15ポイント改善しマイナス3、紙・パルプが11ポイント改善しプラス29、石油・石炭製品も9ポイント改善しプラス9となった。一方、自動車は5ポイント悪化のプラス8で、24年9月調査以来、3四半期ぶりの悪化となった。米国の通商政策をうけた不透明感の高まりや需要減退を指摘する声が聞かれた一方で、自動車の先行きについては1ポイントの悪化にとどまり、米国の関税の影響を懸念する声がある中で、価格転嫁がさらに進むことで収益が改善するという見方もあった。大企業・非製造業の業況判断指数(DI)はプラス34で、前回から1ポイントの小幅な悪化となった。2四半期ぶりの悪化となったが、1991年8月調査以来の高水準は依然維持している。販売価格の上昇や消費に対する懸念が悪化要因で、対個人サービスなどでは、関税の影響を受けた消費者マインドの悪化や先行きの不透明感を指摘する声があった。業種別では、小売が3ポイント悪化しプラス18となっており、円高によるインバウンドの落ち込みを指摘する声があがっていた。
足元の価格の動きを示す販売価格判断DIは大企業・製造業がプラス25で3ポイント低下、大企業・非製造業がプラス34で2ポイントの上昇。一方の仕入価格判断DIは大企業・製造業で2ポイント下落のプラス39、大企業・非製造業で3ポイント下落のプラス45だった。企業の物価見通しの物価全般の見通しでは、全規模・全産業では1年後がプラス2.4%で前回調査から0.1%下方修正されたが、3年後プラス2.4%、5年後プラス2.3%は、いずれも前回調査から横ばいだった。
企業の事業計画の前提となる想定為替レートは、2025年度通期1ドル=145.72円(全規模・全産業)で、24年度の147.06円から円高方向に修正された。
2025年度の全規模・全産業の設備投資計画は前年度比+6.7%で前回の3月調査から上方修正され、その内、大企業・製造業は+14.3%で、大企業・非製造業は+9.9%だった。製造業が中堅企業、中小企業でも前年度比プラスになっている反面で、非製造業は中堅企業と中小企業で前年度比マイナスになっている。
雇用人員判断DIは全規模・全産業はマイナス35で前回から2ポイント改善したが、先行きでは製造業、非製造業ともに、全規模において悪化しており、全規模・全産業で4ポイント悪化のマイナス39となり、人手不足は深刻である。
<銅事情>
6月の銅価格は、5月末9,600ドル台から、10,000ドル超まで上昇。LME指定倉庫で大口の引き出しがあり、5日に9,800ドル台に上昇したが、中旬には中東情勢の緊張の高まりによるリスクオフから、再び9,600ドル台に下落した。その後、一部トレーダーによる買い占めや在庫減少による需給逼迫感から、20日に9,900ドル台に上昇、また26日にも需給逼迫感は再燃し、銅価格は10,000ドルを上回ったまま月が締まった。米ゴールドマンサックスは、2025年下半期のLME銅価格予測を、9,140ドルから9,890ドルへと引き上げた。6月末のLME銅価格は10,040ドル、6月平均のLME銅価格は9,834ドルとなった。6月のLME銅在庫量は大幅減少。前月末14万トン台から、第一週は2.6万トン減少し12万トン台に、第二週は1.5万トン減少し10万トン台に、第三週は1.1万トン減少し9万トン台に、第四週は0.5万トン減少し、6月末のLME銅在庫量は91,250トンで、前月末対比マイナス38.5%と大きく減少した。
6月の国内銅建値は、5月末からマイナス2万円の142万円/トンでスタートし、4日にプラス3万円の145万円/トン、9日にプラス1万円の146万円/トン、12日にマイナス1万円の145万円/トン、18日にプラス2万円の147万円/トン、24日にプラス4万円の151万円/トン、26日にマイナス3万円の148万円/トンとなり、6月平均の銅建値は、146.3万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2025年 1月:145.9万円/t 2月:145.6万円/t 3月:149.6万円/t 4月:137.6万円/t 5月:143.4万円/t 6月:146.3万円/t
2025年7月の国内銅建値は、6月末からプラス2万円の、150万円/トンでスタート。