市況動向

銅事情 12月号

2017年12月4日 資材委員会提供

<11月の国内事情>

 内閣府は、11月の月例報告で現状について「景気は緩やかな回復基調が続いている」と報告しており、7-9月期の実質GDP成長率は前期比で0.3%増(年率1.4%増)と7四半期連続でのプラス成長となった。内外需別の寄与度でみると、個人消費や公共投資などの国内需要は0.2%減、財貨・サービスの純輸出は0.5%増となった。先行きについては緩やかな拡大傾向が続く見込みで、個人消費を中心とした内需は回復傾向が続くと同時に、世界経済の拡大を背景とした底固い外需が日本経済を支えるとしている。
 そうした中、11月初めにはトランプ大統領が就任後初めて来日し、安倍首相と北朝鮮情勢などの協議を行い、日米同盟の重要性や安全保障分野での協力を確認するとともに、会食やゴルフで日米関係の緊密さを全世界にアピールした。その後、トランプ大統領は韓国、中国を訪問し、北朝鮮情勢への対応が協議されたが、11月29日には北朝鮮からICBM(大陸間弾道ミサイル)が発射され、日本の排他的経済水域に落下した。北朝鮮による弾道ミサイル発射は今年に入り15回目となったが、トランプ政権が11月20日に北朝鮮をテロ支援国家に再指定したことへの反発とみられている。
 11月の為替相場は、堅調な米国景気の継続、FRB(米連邦準備理事会)による利上げ政策などから一時は115円台まで円安になったが、イエレンFRB議長のハト派的な発言からドル売り円買いが優勢となり、月末には112円台まで円高に推移した。日経平均株価は、1992年1月以来となる23,000円台を突破した場面もあったが、月末終値は22,724円だった。

<銅事情>

 11月のLME注1銅相場は、第1週は中国国慶節の大型連休により停滞していたが、第2週には堅調な米中の経済指標を受けて需要増への期待が高まり、6,800ドル台まで上昇した。第3週には5営業日連続で上伸し、2014年9月以来、約3年1ヶ月振りに7,000ドル台に乗せた。その後はドル高が頭を押さえる展開となり、利益確定売りで銅相場は軟調だったが、中国経済指標の改善から再び7,000ドルを回復した。第4週から月末にかけてはドルが積極的に買われたことでLME銅相場は6,800ドル台まで下落した。
 LME銅在庫量は10月初めに30万トンを超える水準となったが、8営業日連続で在庫量が減少して28.3万トンとなり、その後一旦上昇した在庫量も月末には27.4万トンとなった。
 10月の国内銅建値は、プラス1万円の77万円/トンでスタートし、6日にプラス2万円の79万円/トン、12日にプラス1万円の80万円/トン、17日にはプラス4万円の84万円/トン、20日にはマイナス1万円の83万円/トン、25日にはプラス1万円の84万円/トンとなり、1ヶ月で7万円上昇した。84万円/トンは2014年11月以来となり、10月の平均建値は81.2万円/トンとなった。
 直近6か月の平均建値は、(2017年 5月:67.1万/トン 6月:67.3万/トン 7月:71.3万/トン 8月:75.0万/トン 9月:77.3万/トン 10月:81.2万/トン)となり、11月の国内銅建値はマイナス2万円の82万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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