市況動向

銅事情 6月号

2016年6月15日 資材委員会提供

<5月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、5月の現状判断DIは、雇用関連DIで上昇したものの家計動向関連DIでは住宅関連などが低下した。企業動向関連DIは、製造業等が低下したことから前月比0.5ポイント低下の43.0ポイントとなった。また5月の先行き判断DIは、家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIのそれぞれが上昇したことにより、前月比1.8ポイント上昇の47.3ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは前月比0.6ポイント上昇の40.6ポイントとなり、先行き判断DIは前月比1.7ポイント上昇の44.6ポイントとなった。景気ウォッチャーの見方は、「景気は、引き続き弱さがみられ、熊本地震によるマインド面の下押し圧力が未だ残っている。先行きについては、販売価格が引き上げられない中で原材料価格が上昇する等、物価動向への懸念がある一方、熊本地震からの復興、夏のボーナスや設備投資増加への期待がみられる」とまとめられる。
 また、日本電線工業会5月発表「2015年度のエコ電線の出荷銅量実績」によると、2015年度のエコ電線の出荷量は、対前年同期比9.1%減の3万8,366トンで4年ぶりの前年割れで4万トンに届かない低調な実績となった。特に建設電販向け需要の低調さによる、主力品種である電力用被覆線での落ち込みは大きく前年同月比9.4%減の3万7,261トンに留まった。

 

<銅事情>

 5月に入ってLME注1銅相場は、4月中盤以降の5,000ドルを臨む堅調な状況から一転、中国経済の不透明感による非鉄需要の先行き懸念や米国での早期利上げ観測がドル高を導き、ドル建ての非鉄が売られる状況となり、4,500ドル台まで下落、約3ヶ月ぶりの低調な推移となった。月の終盤には原油相場の50ドル/バレルの回復と共にLME銅相場も4,700ドル台と上昇するが、6月に控えている「石油輸出国機構(OPEC)総会」や「追加利上げ観測の強まっているFOMC」、「日銀金融政策決定会合」、「英国でのEU離脱是非を問う国民投票」といった重要イベントを睨んでの見合い地合で月末を迎えた。
 一方、LME在庫は4月からの微増傾向から更に積み増され、15万トン台〜16万トンを臨む推移となり、これも銅相場の重しとなった。
 2016年5月の国内銅相場は、前月末の61万円/トンからスタート、5月6日にマイナス5万円の56万円/トンとし、12日にはマイナス1万円の55万円/トンへ、更に24日にはマイナス1万円の54万円/トンへ、一転27日にはプラス2万円の56万円/トンとした。以降は6日には2万円マイナスの54万円/トン、9日にはマイナス1万円の53万円/トンし現在に至る。
 2016年5月平均建値は55.2万円/トンとし前月と比べ2.9万円/トンのマイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年:12月:61.0万/トン 2016年: 1月:57.5万/トン 2月:57.6万/トン 3月:60.2万/トン  4月:58.1万/トン 5月:55.2万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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