市況動向

銅事情 11月号

2022年11月10日 資材委員会提供

<10月の国内事情>

 日銀は28日、金融政策決定会合を開き、3ヶ月毎に公表する実質経済成長率と消費者物価の見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」において、2022年度の物価上昇率見通し(中央値)を円安の進行や原材料高の影響による物価上昇を反映させ、7月時点の前年度比2.3%から2.9%まで引き上げた。前回は「当面は上振れリスクの方が大きいが、その後はおおむね上下にバランスしている」としていた物価見通しに対するリスクバランスも今回は「上振れリスクが大きい」とした。賃金上昇が物価高に追いついていないことから、大規模な金融緩和策は維持し、景気の下支えを続ける。
 一方、経済の見通しについては、「下振れリスクが大きい」とし、前回の「当面は下振れリスクの方が大きいが、その後はおおむね上下にバランスしている」から修正。リスク要因としては、海外の経済・物価動向、ウクライナ情勢、資源価格の同行等で、日本経済をめぐる不確実性は「きわめて高い」との指摘
 実質国内総生産(GDP)の成長率の見通しは、夏場の新型コロナウィルス感染拡大や海外経済の減速の影響で、7月時点の2.4%から2.0%へ引き下げた。国内景気は資源高の影響を受けつつも、新型コロナウィルス感染症の抑制と経済活動の両立が進むもとで「持ち直している」との見方を維持。先行きは資源高や海外経済の減速により下押し圧力をうけるものの、感染症や供給制約の影響が和らぐことで、回復していく予想している。

<銅事情>

 10月の銅相場は、前月末比120ドル程度の下落となった。月初は中国経済への懸念から、前月末から120ドルほど下落し、7,500ドル台となった。その後は、為替や銅の供給懸念で上下しながら中旬まで堅調に推移し、7,700ドル台まで上昇したが、物価上昇や利上げの見通しにより世界経済や金属需要への懸念が強まる中、上海での在庫増などで、7,400ドル台に下落した。月末にかけては、ドル安でコモディティ全般が上昇基調となり、銅も再び7,700ドル台をつけた後、中国での新型コロナウィルス感染拡大や弱い製造業統計などで下落し、月初並みで終わった。10月末のLME銅価格は7,525ドル、10月平均のLME銅価格は7,621ドルとなった。
 10月のLME銅在庫量は、前月末対比21.6%の減少。3日の13万トン台から増加傾向で、17日までに8千トン増加し14万トン台で推移したが、以降で3万6千トンと大きく減少し、10月末のLME銅在庫量は、106,425トンとなった。 
 10月の国内銅建値は、9月末からプラス2万円の115万円/トンでスタートし、5日にプラス2万円の117万円/トン、17日にプラス2万円の119万円/トン、20日マイナス2万円の117万円/トン、24日にプラス2万円の119万円/トン、27日にプラス1万円の120万円/トンとなり、10月平均の銅建値は、117.9万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2022年 5月:125.1万円/t 6月:127.0万円/t 7月:108.6万円/t 8月:113.0万円/t 9月:115.9万円/t 10月:117.9万円/t。
 2022年11月の国内銅建値は、10月末から3万円下げの117万円/トンでスタート。



過去の銅事情