市況動向

銅事情 9月号

2023年09月07日 資材委員会提供

<8月の国内事情>

 内閣府が8月15日に発表した2023年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.5%増、年率換算で6.0%増となり、3四半期連続のプラス成長となった。個人消費が弱含む一方で、輸出の復調が全体を押し上げた。年率の成長率が6.0%を超えるのはコロナ渦の落込みから一時的に回復した2020年10~12月期の7.9%以来となる。GDP実額も実質年換算で560.7兆円と過去最高で、コロナ前のピークだった2019年7~9月期の557.4兆円を超えた。
 輸出は半導体の供給制約緩和された自動車の増加と、インバウンドの回復がプラスに寄与、前期比で3.2%増。2四半期ぶりのプラス。輸入は3四半期連続のマイナスで4.3%減。マイナス幅が1~3月期に比べ拡大し、GDPを押し上げる要因となった。内需関連の項目は落込み、鈍りが目立った。GDPの過半を占める個人消費は前期比0.5%減で3四半期ぶりのマイナス。コロナ渦からの正常化で外食・宿泊が伸び、自動車・ゲームソフトの販売も増加したが、長引く物価高で食品や飲料が落込み、巣ごもり需要の一巡で白物家電も下押しの要因となった。内需のもう一方の柱である設備投資は、2四半期連続でプラスにはなったものの横ばい。プラスに寄与したのはソフトウェアで、企業の研究開発費などは落ち込んだ。その他では、住宅投資が1.9%増で3四半期連続のプラス。公共投資は5四半期連続でのプラスで1.2%増。政府消費はコロナ対策が落ち着いたことで0.1%増のほぼ横ばい。
 国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で3.4%上昇し、3四半期連続のプラスとなった。輸入物価上昇が一段落し、食品や生活用品など国内での価格転嫁が広がっている。雇用者報酬は名目では前年同期比で2.6%増えたが、実質では0.9%減で7四半期連続のマイナスという状況。物価上昇に賃金アップが追いつかない状況が継続している。

<銅事情>

 8月の銅価格は、前月末対比270ドル超の下落。初日、前月末対比+85ドルの8,700ドル台となった後、中国で7月の銅輸入量が、前年同月比2.7%減となった事や、不動産セクターの債務問題など、中国の景気減速に対する懸念を背景に弱含み、中旬までに8,100ドル台まで下落した。その後、中国中央銀行が人民元安定化策を実施との報道や、消費データが堅調であった事などから、22日に8,300台に値を戻すと、そのまま月末まで大きな変動は無かった。8月末のLME銅価格は8,360ドル、8月平均のLME銅価格は8,352ドルとなった。
 8月のLME銅在庫量は、前月末対比で40.6%の大幅増加となった。初日、7月末から1,100トン増の75,000トン台となった後、2週目に80,000トン台、3週目に90,000トン台に増加し、月末近くで100,000トンを超えた。前日対比で減少した日は1日も無く増加し、8月末のLME銅在庫量は、104,275トンとなった。
 8月の国内銅建値は、7月末からプラス5万円の131万円/トンでスタートし、3日にマイナス4万円の127万円/トン、8日にマイナス1万円の126万円/トン、15日にマイナス1万円の125万円/トン、22日にプラス1万円の126万円/トン、25日にプラス1万円の127万円/トンとなり、8月平均の銅建値は、126.6万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2023年 3月:123.9万円/t 4月:123.5万円/t 5月:118.2万円/t 6月:124.0万円/t 7月:124.7万円/t 8月:126.6万円/t。
 2023年9月の国内建値は、8月末から1万円/トン上げの128万円/トンでスタート



過去の銅事情