市況動向

銅事情 11月号

2020年11月10日 資材委員会提供

<10月の国内事情>

 日銀は、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、景気は厳しい状態にあるものの「持ち直している」との見方を示した。2020年度の実質GDP成長率は、政策委員見通しの中央値で、前年度比マイナス5.5%と前回7月に示した予測(マイナス4.7%)からマイナス0.8ポイント下方修正した。その主因としては、旅行や飲食などのサービス需要の回復の遅れとしている。2021年度見通しは、前年比プラス3.6%とし、前回7月の見通し(プラス3.3%)からプラス0.3%の上方修正と予想。更に2022年度は、プラス1.6%と前回見通し(プラス1.5%)からプラス0.1%上方修正した。
 また、2020年度の消費者物価指数については、マイナス0.6%とし、前回7月時点より、マイナス0.1%の下方修正とし、2021年度見通しは、プラス0.4%と前回見通し(プラス0.3%)から、プラス0.1%上方修正、2022年度見通しは、プラス0.7%と前回並みと予想している。
 いずれの見通しも、新型コロナウィルスの帰趨によって変わりうるため、経済の先行きは不確実性が高く、下振れリスクが大きいとの考えを強調している。

<銅事情>

 10月の銅相場は、前月末並みの6,600ドル台でスタートしたが、米景気対策合意への不透明感等で、2日には6,400ドル台に急落した。その後は、チリ銅鉱山でのストライキに関する報道を受けた供給懸念が高まり、中国の好調な経済指標などにより堅調に推移し、21日には6,900ドル台となった。しかし以降は、米追加経済対策の合意持ち越しや、新型コロナウィルスの感染再拡大などでリスク回避に転じ、10月末のLME銅相場は6,694ドル、10月平均のLME銅相場は6,703ドルとなった。
 10月のLME銅在庫量は、月初の16万トン台から減少傾向で、12日まで15万トン台で推移していたが、中旬一気に3万トン強増加し18万トン台となった。しかし、その後は再び減少を続け、10月末のLME銅在庫量は、16万9,000トンとなった。
 10月の国内銅建値は、9月末から1万円上げの75万円/トンでスタートし、6日にマイナス2万円の73万円/トン、12日にプラス3万円の76万円/トン、15日にマイナス1万円の75万円/トン、21日にプラス2万円の77万円/トン、27日にマイナス2万円の75万円/トンとなり、10月平均の銅建値は75.2万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2020年 5月:60.5万円/t 6月:65.9万円/t 7月:72.1万円/t 8月:72.9万円/t 9月:75.0万円/t 10月:75.2万円/t。
 2020年11月の国内銅建値は、10月末と同様の75万円/トンでスタート。

過去の銅事情