銅事情 11月号
2018年11月09日 資材委員会提供
<10月の国内事情>
日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、2018年度実質GDPの成長率見通しを前年度比1.4%増とし、7月見通しから0.1%下方修正した。消費者物価指数についても前年度比0.9%増と7月見通しから0.2%下方修正したが、景気判断は所得から支出への前向きな循環メカニズムが働くもとで、「緩やかに拡大している」とし、先行きについても、2018年度は海外経済の着実な成長と極めて緩和的な金融環境や政府支出による景気下支えを背景に潜在成長率を上回る成長を続けると見込んでいる。2019年度から2020年度にかけては、設備投資の循環的な減速や消費税率引き上げの影響で成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて景気の拡大基調は継続するとしている。10月の日経平均株価は北米自由貿易協定の再交渉妥結で米通商問題の警戒感が和らぎ、為替も円安・ドル高傾向が進んだことで、10月2日の終値は24,270円と27年ぶりの高値圏となった。その後は利益確定売りや米国発の株安の影響から世界同時株安となり、22,000円台まで下落した。月末にかけては、米株式市場の急落から1日で800円以上の下げ幅を記録し、21,000円台まで下落し、日経平均株価の月末終値は21,920円だった。
<銅事情>
10月のLME銅相場は米国とカナダ、メキシコが北米自由貿易協定の再交渉で合意に至ったことで6営業日ぶりに反発し、一時は6,300ドル台まで上昇したが、ドル高を反映して6,100ドル台に急落した。その後、チリ銅公社コデルコが鉱山の抜本的改革が必要と伝えられたことから銅は買われ、ドル安も相場を支援して6,200ドル台まで上昇したが、世界的な株安を背景に再度6,100ドル台まで反落した。一転、中国貿易統計で9月の未精錬銅の輸入量が2年半ぶりの高水準だったことと、世界的に株価も回復したことで、投資家のリスク選考回帰から銅相場は6,300ドル台まで再上昇した。月末に向けては、中国経済の先行き動向、米経済指標の弱さ、銅在庫の減少、世界的な株安などを背景に一進一退の動きとなり、10月のLME銅相場平均は6,222ドルだった。LME銅在庫量は9月末21.0万トンから減少し続け、10月末には13.9万トンまで減少した。
10月の国内銅建値は据え置きの75万円/トンでスタートし、4日にプラス2万円の77万円/トン、9日にマイナス2万円の75万円/トン、16日にマイナス1万円の74万円/トン、19日にマイナス1万円の73万円/トン、24日にプラス1万円の74万円/トンとなり、10月の平均建値は74.4万円/トンだった。
直近6か月の平均建値は、(2018年5月:79.7万円/t 6月:81.0万円/t 7月:74.0万円/t 8月:71.6万円/t 9月:71.7万円/t 10月:74.4万円/t)となり、2018年11月の国内銅建値はマイナス2万円の72万円/トンでスタートした。