銅事情 10月号
2015年10月20日 資材委員会提供
<9月の国内事情>
内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、9月の現状判断DIは家計動向関連、企業動向関連、雇用関連DIのそれぞれが下がったことにより前月比1.8ポイント低下の47.5ポイントとなった。また、先行き判断DIは、企業動向関連DI及び雇用関連DIは低下しながらも、家計動向関連DIが上昇したことにより、前月比0.9ポイント上昇の49.1ポイントとなった。以上のことから「景気は中国経済に係る動向の影響等がみられるが、緩やかな回復基調が続いている。先行きについてはプレミアム付商品券への期待等がみられるものの、中国経済の情勢や物価上昇への懸念等がみられる」とまとめられた。また国土交通省発表の「平成27年7月の建設工事受注動態統計調査報告」によると、6兆9,101億円と10ケ月連続で前年同月を上回っている。特に昨年度の道路や震災復興・復旧需要と違い、民間工事が受注額を押し上げているのが特徴となっている。一方、電線の2015年度の需要動向は、主力需要部門である建設電販部門や電機部門を中心に、総じて勢いに欠く状況となっており、電線工業会発表「8月の銅電線出荷」によると、前年同月比で▲1.6%と上期は総じて前年を下回る推移を示した。一方、電力部門での需要に関しては、東日本大震災後の原子力発電稼働停止を受け、設備投資の減少による需要減が続いたが、直近は電力設備更新投資により持ち直している状況となっている。為替相場は米での金融政策の動向が不透明の中、前月後半の相場を引き継ぎ120円から121円台での推移となった。
<銅事情>
9月のLME注1銅相場は、月の前半にスイスの資源大手「グレンコア」がアフリカの銅山を一時停止したことによる減産や、17日に発生したチリでの大地震、FRB(米連邦準備理事会)での利上げ先送り決定といった要因により、上値抵抗ラインの5,400ドルに頭を抑えられた。月後半には、中国での経済指数の下落や独フォルクスワーゲン社での排ガスを巡る不正の発覚とそれに伴う欧州株の全面安といったネガティブ要因から今度は5,000ドル台の維持が焦点となる低調な推移を示した。銅相場は一時4,015ドルと6年ぶりの安値を示す展開となり、その後5,000ドルを巡る攻防となった。LME銅在庫は、前月の37万トン台まで積み上がった状況から減少の一途となり月末には32万トン台への減少傾向となった。2015年9月の国内銅相場は、前月末の64万円/トンから1日にプラス3万円の67万円/トンでのスタート、その後4日にはプラス1万円の68万円/トンへ、9日にはプラス1万円の69万円/トンへ、14日には更にプラス1万円の70万円/トンとしたが、一転24日にはマイナス4万円の66万円/トン下落となった。10月からは、1日よりプラス1万円の67万円/トン、13日には69万円/トン、16日には68万円/トン、21日には67万円/トンとして現在に至る。
2015年9月平均建値は68.0万円/トンとし前月と比べ0.15万円/トンのプラスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 4月:76.6万/トン 5月:81.1万/トン 6月:77.0万/トン 7月:72.4万/トン 8月:67.9万/トン 9月:68.0万/トン)
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)