銅事情 9月号
2016年9月16日 資材委員会提供
<8月の国内事情>
内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、8月の現状判断DIは、小売等の家計動向関連DIは下落したが、非製造業等の企業動向関連DIと雇用関連DIが上昇したことにより前月比0.5ポイント上昇の45.6ポイントとなった。また8月の先行き判断DIでも、家計動向関連DIの下落以外でそれぞれのDI指数が上昇したことにより、前月比0.3ポイント上昇の47.4ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは前月比2.8ポイント上昇の46.0ポイントとなり、先行き判断DIは前月比2.3ポイント上昇の48.9ポイントとなった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、引き続き海外経済や金融資本市場の動向等への懸念がある一方、公共工事の増加や求人増加の継続等への期待がみられる」とまとめられた。また、日本電線工業会がまとめた2016暦年上半期(1〜6月)の銅電線出荷実績によると、銅量で前年同期比95.5%の33万4,940トン、金額で同92.2%の5,996億7,600万円となった。部門別には自動車部門の微増を除き、最大需要部門である建設電販部門で対前年同期比、銅量97.1%、金額85.6%をはじめすべて部門で銅量、金額ともに前年同期を下回るものとなった。
<銅事情>
8月に入ってLME注1銅相場は、堅調な地合いとなるも5,000ドルの壁に都度はね返されていた前月の推移から、ドル高による上値圧迫と原油相場の下落、株式相場からの連鎖安により、4,725ドル〜4,781ドルの下値抵抗線での下げ止まりが注目される様相となった。その後、米雇用統計が市場予想を大きく上回ったことを受け、投資家のリスク回避姿勢が和らぐも相場は4,800ドル台に留まった。中盤以降は、リオオリンピックを迎え金融市場は様子見ムードとなるとともに、銅の最大消費国中国での経済の先行き懸念と銅の過剰供給から銅相場は全般に軟調基調を示した。更に夏枯れ相場の様相の8月の後半には、FRB(米連邦準備制度理事会)フィッシャー副議長が追加利上げに関して前向きな発言を示したことにより非鉄相場は約2ケ月ぶりの安値となった。
LME在庫は、20日以降4営業日で約53,000トン余りの急増を示すとともに、月末には2015年10月から10ケ月ぶりの28万トンを越える在庫量にまで膨れ上がった。これらの要因により国内銅ベースは今年最低水準となる51万円/トンとなった。
2016年8月の国内銅相場は、前月末の56万円/トンから1日にマイナス1万円の55万円/トンとしてのスタート、4日にはマイナス2万円の53万円/トンに、更に18日にはマイナス1万円の52万円/トンへ、25日にはマイナス1万円の51万円/トンとした。以降は9月に入り1日には1万円プラスの52万円/トン、15日にはプラス1万円の53万円/トンし現在に至る。
2016年8月平均建値は52.6万円/トンとし前月と比べ2.2万円/トンのマイナスとなった。
直近6か月の平均建値(2016年:3月:60.2万/トン 4月:58.1万/トン 5月:55.2万/トン 6月:53.4万/トン 7月:54.8万/トン 8月:52.6万/トン)
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)