市況動向

銅事情 3月号

2024年03月07日 資材委員会提供

<2月の国内事情>

 内閣府が2月15日に発表した2023年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で、前期比マイナス0.1%だった。これを年率換算するとマイナス0.4%。個人消費と設備投資を中心に内需が軒並み落ち込み、3四半期ぶりのマイナス成長だった7~9月期に引続き、2四半期連続のマイナス成長となった。
 GDPの過半を占める個人消費が前期比マイナス0.2%で、3四半期連続のマイナス。要因は、衣料品が暖冬の影響で不振、外食がコロナ渦からの回復が一服したことで落ち込み、物価高が響いてアルコール・野菜・ガソリンなどの消費も減った。もう一方の内需の柱である設備投資も前期比マイナス0.1%で3四半期連続のマイナスだった。航空機用発動機部品やデジタル伝送装置が下押しの圧力となった。企業の設備投資に対する意欲は旺盛だが、人手不足による工場の建設遅れなど、供給面での制約も響いたとみられる。世界的な半導体市場の低迷が底を打ち、半導体製造装置は堅調、受注ソフトウェア投資も伸長した。民間住宅投資は前期比マイナス0.1%だった。前回5四半期ぶりにマイナスに転じ、今回のマイナスは2四半期連続。住宅資材の高騰で着工が弱含み、人件費上昇も出来高に影響が出ているとの見方がある。公共投資も前期比マイナス0.7%で6四半期ぶりにマイナスに転じた。22年度の補正予算による押上げ効果が一巡したと見られる。
 輸出は前期比プラス2.6%で3四半期連続のプラスとなった。米国企業からの知的財産関連の使用料受取で、一時的にサービスの輸出が11.3%と伸びたことと、計算上輸出に分類されるインバウンド消費が前期比プラス14.1%となったことが押し上げの要因だった。GDP計算からの控除項目である輸入は、原油や液化天然ガス(LNG)などの鉱物性燃料の輸入が増え、前期比プラス1.7%で2四半期連続プラスとなり、全体を押し下げた。
 名目GDPは前期比プラス0.3%、年率換算でプラス1.2%と2四半期ぶりのプラス。国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前期比で3.8%上昇し、5四半期連続のプラスとなった。
 23年の実質GDPは前年比プラス1.9%、名目はプラス5.7%で共に3年連続のプラスとなり、暦年でみればコロナ渦からの経済回復が緩やかに進んでいることとなる。
 10~12月期のGDPが2四半期連続のマイナスとなったことを受け、新藤経済再生担当大臣は、「賃金の上昇が物価上昇に追いついていない中で個人消費が力強さを欠いている。設備投資は、計画は非常に前向きで積極的だが実現に時間がかかっている。こうした状況を改善し、後押しするための経済対策の効果ができるだけ早く経済に反映できるよう努力をしていきたい」と述べた。厚生労働省が6日に発表した2023年の毎月勤労統計によると、一人あたりに実際に支払われた賃金の額を示す名目は全ての月で増えているが、物価を考慮した実質では前年比マイナス2.5%であり、2年連続で減少した。マイナス1.0%だった前年(2022年)からさらに低下し、1990年以降で最も低い。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率が3.8%と42年ぶりの高水準だったことが影響した。

<銅事情>

 2月の銅価格は、12日までに約400ドル下落、その後22日までに約400ドル上昇し値を戻したが、月末までに約100ドル下落し、前月末対比124ドルの下落となった。初日8,400ドル台の後、中国春節に向けて様子見の中、消費者物価下落など中国景気減速の懸念から12日まで右肩下がりで、8,100ドル割れまで下落した。その後、中国の経済支援が期待される中、住宅ローンの基準金利が引き下げられた事に加え、LME在庫も減少し、22日まで右肩上がりで、8,400ドル台に値を戻した。しかしその後、中国の銅在庫増加や春節からの回復遅れなどで月末まで弱含み、2月末のLME銅価格は8,389ドル、2月平均のLME銅価格は8,311ドルとなった。
 2月のLME銅在庫量は、前日比で増加した日は2日間しか無く、前月末対比で16.5%の減少であった。初日の5,200トン減が最大で、その後大きく減少する日は無かったが、じわじわと右肩下がりで2万4,000トン減少し、2月末のLME銅在庫量は、121,375トンとなった。
 2月の国内銅建値は、1月末同様の130万円/トンでスタートし、6日にマイナス2万円の128万円/トン、9日にマイナス2万円の126万円/トン、15日にプラス1万円の127万円/トン、19日にプラス4万円の131万円/トン、22日にプラス1万円の132万円/トンとなり、2月平均の銅建値は、129.4万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2023年 9月:127.8万円/t 10月:124.2万円/t 11月:128.3万円/t 12月:126.7万円/t 2024年 1月:126.5万円/t 2月:129.4万円/t。
 2024年3月の国内銅建値は、2月末から1万円下げの131万円/トンでスタート。



過去の銅事情