市況動向

銅事情 1月号

2019年1月15日 資材委員会提供

<12月の国内事情>

 日銀が発表した12月短観の大企業製造業の業況判断DIは前回調査と同じ19ポイントとなり、4四半期連続での悪化に歯止めはかかったが、業種毎の景況感には大きな差が出ており、今後も為替相場、原油価格、米中貿易摩擦などが製造業の景気動向を大きく左右するものと思われる。大企業非製造業の業況判断DIはインバウンド関連需要の回復や個人消費の強さを反映し、前回調査から2ポイント改善の24ポイントに上昇した。全規模全産業の業況判断DIは16ポイントとなり、前回調査から1ポイント上昇し、3四半期ぶりの改善となった。
 3カ月後の先行きについては、大企業製造業、大企業非製造業ともに前回調査から4ポイント悪化した。製造業は中国経済を中心とした世界経済の減速や米通商政策の先行き不透明感などから多くの業種で景況感を押し下げ、非製造業は人手不足の深刻化から運輸・郵便、対個人サービスなどが業績の悪化を懸念している。
 一方、設備投資計画は9月調査の前年度比8.5%増から前年度比10.4%増と上方修正され、依然として高い水準を維持している。業種別にみると、非製造業は上方修正され、全体の押し上げに寄与したが、製造業は大企業、中堅企業で下方修正され、先行きの投資は慎重になってきている。
 12月の日経平均株価は21,000~22,000円台で推移していたが、米政権運営の不透明感や世界景気の減速に対する懸念から2017年4月以来、およそ1年4カ月ぶりに19,000円を割り込み、18,900円台まで下落した。その後、米ダウ工業株30種平均が過去最大の上げ幅を記録したことで、投資家心理の悪化が一服、円相場が円安方向に振れたことも追い風となり、20,000円台まで回復して2018年を終えた。

<銅事情>

 12月のLME銅相場は米中貿易協議の長期化による中国需要の後退懸念から銅相場は下落傾向が続き、中国国家統計局が発表した11月鉱工業生産の伸び率が前年比5.4%と3年ぶりの低水準だったことも、銅需要見通しを悪化させ、軟調な相場につながった。さらに、インドのベダンタが運営する大規模精錬所の操業再開ニュースもあり、供給過剰懸念から軟調が続き、6,000ドルを割る展開となったが、世界的に株式市場が反発したことで、リスク資産への投資意欲が回復したほか、ドル安傾向で割安感も高まり、年末には6,000ドルを回復して2018年を終了した。
 LME銅在庫量は12万トンを割り、10年ぶりの低水準となったが、月末には13万トンまで回復した。
 12月の国内銅建値はプラス1万円の75万円/トンでスタートし、6日にマイナス1万円の74万円/トン、11日にマイナス1万円の73万円/トン、14日にプラス1万円の74万円/トン、19日にマイナス3万円の71万円/トン、26日にマイナス1万円の70万円/トンとなり、12月の平均建値は72.7万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年7月:74.0万円/t 8月:71.6万円/t 9月:71.7万円/t 10月:74.4万円/t 11月:74.4万円/t 12月:72.7万円/t)となり、2019年1月の国内銅建値はマイナス1万円の69万円/トンでスタートした。


過去の銅事情