市況動向

銅事情 7月号

2017年7月7日 資材委員会提供

<6月の国内事情>

 日銀が発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)の業況判断DIは、全規模全産業でプラス12%となり、3月調査のプラス10%を上回った。幅広い業種で業績改善が進んでおり、企業の景況感の回復に広がりが出ている。特に、機械や素材など大企業製造業の景況感改善が目立ったが、景気回復の裾野は中小企業や非製造業にも広がり、個人消費の回復や都市部の再開発等で国内需要も底固さを増している。
 景況感が改善している中で、雇用の需給は一段と引き締まっており、雇用人員判断DIは全規模全産業でマイナス25%ポイントとなっており、国内全企業での人手不足が深刻化している。先行きについても全規模全産業でマイナス29%ポイントとなっており、雇用の需給は一層タイト化が予想されている。
 一方、2017年度設備投資計画は全規模全産業で前年度比2.9%増、大企業製造業においては前年度比15.4%増となっており、企業収益の改善を背景に将来を見据えた大型投資や人手不足解消に向けた合理化・省力化投資は堅調に推移している。
 金融情勢は、サウジアラビアなど中東4カ国がカタールとの国交を断絶したことで、政治的リスクの高まりから一時は円が買われ、109円台まで円高が進んだが、日銀の金融緩和政策が継続するとの見方が広まると、欧米との金利差拡大を見越した円売りが続き、月末には112円台まで円は売られた。日経平均株価も米国の株高に加え、円安傾向が後押ししたことで2015年12月以来の2万円台を回復した。

<銅事情>

 6月に入り、LME注1銅相場は5月末の5,608ドルから一時は5,500ドル台まで下降したが、月中には5,700ドル台に回復、その後米国経済の底固さからドルが買われる展開で5,600ドル台を推移していたが、中国製造業の収益性改善が伝わると非鉄需要の回復に期待感が高まり、為替もドル安に推移したことから月末には5,905ドルまで上昇した。
 LME銅在庫量は、5月末の31.8万トンから連日4桁減少を繰り返し、6月末のLME在庫量は5月末に比べ7万トンも減少して24.8万トンと3月以来の低水準となった。
 2017年6月の国内銅相場は、据え置きの67万円/トンでスタートし、6日にマイナス1万円の66万円/トン、9日にプラス1万円の67万円/トン、15日にはマイナス1万円の66万円/トンと前半は小幅な動きを繰り返したが、20日にはプラス2万円の68万円/トン、27日にはプラス1万円の69万円/トンと月末に向けて上昇し、6月の平均建値は67.3万円/トンとなった。
 直近6か月の平均建値は、(2017年1月:69.9万/トン 2月:71.2万/トン 3月:70.3万/トン 4月:66.9万/トン 5月:67.1万/トン 6月:67.3万/トン)となり、7月の国内銅相場は2万円上げの71万円/トンでスタートし、3月以来の70万円台となった。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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