市況動向

銅事情 8月号

2021年08月04日 資材委員会提供

<7月の国内事情>

 日銀が7月16日に金融政策決定会合でまとめた「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」において、2021年度の実質経済成長率は、前回4月の公表値(4.0%)から引き下げ、前年度比3.8%と下方修正した。その背景として当面の経済活動の水準は首都圏を中心に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の繰り返しの発令を受け、宿泊・飲食などの対面型サービス消費の回復が従来の予測より遅れると見込まれるため。
 一方、生鮮食品を除く消費者物価指数の上昇率は、0.6%と前回4月の0.1%から上方修正とした。これは、資源価格の上昇と大手通信各社による携帯通信料金の引き下げによる物価下押しが4月想定より、小幅にとどまったことを反映した面が大きく、景気回復が物価を押し上げる好循環は未だ生じていない。
 また、2022年度は、前回予測の0.8%から0.9%とわずかに上方修正されているものの、2023年度の物価見通しについては、前回同様に1.0%と据え置きとみており、日銀が目標に掲げている2%の達成はきわめて困難との見方を維持しており、その背景としては、日本経済の需要不足を挙げている。
 日銀によると、経済全体の需要と潜在的供給力の差を示す需給ギャップは、1~3月期では、マイナス1.37%と需要不足の状態が続いていることを示しており、企業収益の回復が賃上げにつながり、消費者の購買力が高まらないかぎり持続的な物価上昇は見込めないとみている。

<銅事情>

 7月の銅相場は、底堅く推移。初日9,300ドル台から、中国の低調な経済指標による金融引き締め懸念の後退を受け、6日には9,500ドル台に上昇した。その後は、新型コロナウイルス変異株の感染拡大による、各国成長見通しを巡る懸念や、中国の需要鈍化懸念などありながらも、9,200ドル台~9,400ドル台で底堅く推移した。終盤にかけては、ECB(欧州中央銀行)やFRB(米連邦準備制度理事会)が、金融緩和を継続する姿勢を示した事や、中国の洪水被害、チリ鉱山のストライキ懸念などにより上昇し、7月末のLME銅相場は9,748ドル、7月平均のLME銅相場は9,434ドルとなった。
 7月のLME銅在庫量は、6月末同様の21万トン台で始まり、12日に22万トン台、26日に23万トン台と徐々に増加し、7月末のLME銅在庫量は、238,650トンとなった。
 7月の国内銅建値は、6月末と変わらずの109万円/トンでスタートし、6日にプラス1万円の110万円/トン、9日にマイナス3万円の107万円/トン、14日にプラス1万円の108万円/トン、20日にマイナス3万円の105万円/トン、26日にプラス6万円の111万円/トンとなり、7月平均の銅建値は、108.8万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2021年 2月:91.8万円/t 3月:102.2万円/t 4月:104.5万円/t 5月:115.7万円/t 6月:111.1万円/t 7月:108.8万円/t。
 2021年8月の国内銅建値は、7月末と変わらずの111万円/トンでスタート。


過去の銅事情