銅事情 4月号
2016年4月25日 資材委員会提供
<3月の国内事情>
内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、3月の現状判断DIは、雇用関連DIで低下したものの企業動向関連DIが上昇したことから前月比0.8ポイント上昇の45.4ポイントとなった。3月の先行き判断DIは、一転雇用関連DIは上昇したが、家計動向関連DI及び企業動向関連DIは低下したことから前月比1.5ポイント低下の46.7ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは前月比3.0ポイント低下の41.6ポイントとなり、先行き判断DIは前月比0.4ポイント低下の45.3ポイントとなった。以上のことから、「景気は、消費動向等への懸念により、このところ弱さがみられる。先行きについては、観光需要や公共事業前倒しへの期待等がある一方で、先行き不安や金融資本市場の動向が企業、家計のマインド等に与える影響に留意する必要がある」とまとめられる。日本電線工業会3月23日発表「2016年度の銅電線需要見通し」によると、2016年度出荷銅量は2015年度出荷見込み比1.8%増の71万1,000トンとし2年ぶりに前年実績を上回る70万トンとの予想を示した。また2015年度実績見込みは69万8,500トンで前年度比3.5%の減とし、これは主要出荷部門の建設電販部門での人手不足や建築関連需要が伸びなかったことに加え、電機部門や自動車部門で需要が伸びなかったことも要因となった。また日本電線工業会からは3月4日「電線取引適正化ガイドライン」が発表された。このガイドラインは事業収支構造が会社ごとに異なることを前提に、各社がコストをしっかり認識した上で収支相償させる事、及び独占禁止法を遵守するといったことを徹底した上で、契約意識の向上と契約条件の明確化を図ること、これらをガイドライン作成の重要な基本思想とした内容である。
<銅事情>
3月に入ってLME注1銅相場は、1週目より金融市場リスクの回避が一服したことで、銅をはじめ非鉄に資金が流入し堅調な推移を示した。その後も中国の人民代表大会において景気刺激策となる、交通網整備などに2兆元の投資表明があり、また原油相場の上昇もあって4ケ月ぶりの5,000ドルに乗せる局面となった。その後は、世界経済の不透明感、地政学リスク(ブリュッセル発生テロ事件)といったネガティブ要因、イランの原油生産凍結への不参加表明による石油供給過剰懸念、16日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ回数見通しの減少等のポジティブ要因によって5,000ドルでの攻防が続いた。一方、LME在庫は更に減少推移を示し、15万トンを下回る状況となった。2016年3月の国内銅相場は、前月末の57万円/トンからスタート、その後4日にプラス3万円の60万円/トンへ、更に14日にはプラス1万円の61万円/トンで月末を迎えることとなった。4月からは、1日にマイナス2万円の59万円/トンへ、6日にはマイナス2万円の57万円/トン、更に11日にマイナス2万円の55万円/トンへ、一転14日にはプラス2万円の57万円/トン、20日にはプラス2万円の59万円/トン、25日にはプラス2万円の61万円/トンし現在に至る。
2016年3月平均建値は60.2万円/トンとし前月と比べ2.6万円/トンのプラスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 10月:67.7万/トン 11月:63.8万/トン 12月:61.0万/トン 2016年: 1月:57.5万/トン 2月:57.6万/トン 3月:60.2万/トン)
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)