市況動向

銅事情 4月号

2021年04月08日 資材委員会提供

<3月の国内事情>

 日銀が四半期毎に発表している全国企業短期経済観測調査(短観)の3月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、新型コロナウイルスの世界的な拡大を受けて2020年6月には、リーマン・ショック後の水準と並ぶマイナス34ポイントまで落ち込んだ後、改善傾向が続き今回の調査においては15ポイント改善のプラス5となり、これは2019年9月調査以来の水準まで改善した結果となった。米中をはじめとした世界経済の持ち直しにより輸出や生産活動が拡大し、3四半期連続での改善につながっている。
 主要16業種のうち13業種で改善し、海外向け設備投資需要の回復をうけて石油・石炭製品、生産用機械などの改善が目立ち、国内でもリモートワークの普及や巣ごもり需要によるインターネット環境の整備を受け電気機械などでも景況感が上向いたのに加え、2021年に入り急速な円安・ドル高が進んだことも追い風となった。
 一方、大企業・非製造業はマイナス1と前回調査から4ポイントの改善幅にとどまる結果となった、これは各地での感染再拡大を受けての緊急事態宣言の影響もあり宿泊・飲食などの対面型サービス業などの厳しい状況が続いているため。

<銅事情>

 3月の銅相場は、景気回復期待から、9,200ドルと出だしは堅調だったが、4日には、ドル高、米株式下落、LME在庫の増加により売り込まれ、500ドル弱の下落となった。その後は、LME在庫が増加し続ける中でも、米追加経済対策の成立や、米株式市場の高値更新により、9,000ドルを挟んで底堅く推移。しかし25日に、ドル高や中国需要に対する懸念から、8,700ドル台に下落すると、その後は終値で9,000ドルを回復する事無く月末を迎えた。3月末のLME銅相場は8,851ドル、3月平均のLME銅相場は9,005ドルとなった。
 3月のLME銅在庫量は、1日の73,000トンから増加を続け、3月末のLME銅在庫量はほぼ倍増の、143,000トンとなった。
 3月の国内銅建値は、2月末から1万円下げの101万円/トンでスタートし、3日にプラス3万円の104万円/トン、5日にマイナス6万円の98万円/トン、9日にプラス5万円の103万円/トン、12日にプラス1万円の104万円/トン、17日にマイナス2万円の102万円/トン、22日にプラス1万円の103万円/トン、24日にマイナス2万円の101万円/トン、29日にプラス2万円の103万円/トンとなり、3月平均の銅建値は102.2万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2020年 10月:75.2万円/t 11月:77.6万円/t 12月:84.8万円/t 2021年 1月:87.0万円/t 2月:91.8万円/t 3月:102.2万円/t。
 2021年4月の国内銅建値は、3月末から1万円下げの102万円/トンでスタート。


過去の銅事情