市況動向

銅事情 11月号

2021年11月08日 資材委員会提供

<10月の国内事情>

 日銀は、3か月毎に政策委員による実質経済成長率と消費者物価の見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」において、2021年度の実質国内総生産(GDP)成長率について政策委員見通しの中央値でプラス3.4%と前回7月に示した予測(プラス3.8%)から0.4ポイント引き下げた。これは半導体不足などの供給制約で自動車を中心に輸出・生産が減速しており、個人消費も飲食や宿泊などで回復が遅れているため。
 また、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率見通しとしては、21年度がゼロ%と前回7月時点より0.6ポイント引き下げた。携帯電話通信料の引き下げや今夏に統計の算出基準を改定した影響が大きく出ている。なお、2022年度見通しはプラス0.9%、2023年度見通しはプラス1.0%といずれも前回7月の想定を据え置いた。 

<銅事情>

 10月の銅相場は荒い値動きで、前月末対比約900ドル上昇した。初日9,100ドル台だった銅価格は、世界的な在庫の減少を背景に、中旬までに約10,600ドルまで上昇した。欧州の大手資源商社トラフィギュラによる意図的な供給締め上げ(スクイーズ)が背後にあった可能性が報道された。後半は利益確定売りや、中国で、記録的高値圏にある銅価格を引き下げる方法について検討しているとの発言があった他、最大消費国中国の電力危機や経済成長の減速で、需要が減少するとの懸念により下落に転じたが、前半の上昇を打ち消すには至らず、10月末のLME銅相場は9,955ドル、10月平均のLME銅相場は9,779ドルとなった。
 10月のLME銅在庫量は、21万トン台で始まった後、一度も増加する日が無く減少した。10月末のLME銅在庫量は、前月から約4割減少し、131,300トンとなった。
 10月の国内銅建値は、9月末からマイナス4万円の104万円/トンでスタートし、5日にプラス3万円の107万円/トン、11日にプラス3万円の110万円/トン、13日にプラス2万円の112万円/トン、15日にプラス8万円の120万円/トン、19日にプラス14万円の134万円/トン、20日にマイナス9万円の125万円/トン、22日にマイナス6万円の119万円/トンとなり、10月平均の銅建値は、115.3万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2021年 5月:115.7万円/t 6月:111.1万円/t 7月:108.8万円/t 8月:107.5万円/t 9月:107.9万円/t 10月:115.3万円/t。
 2021年11月の国内銅建値は、10月末から2万円下げの117万円/トンでスタート。


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