市況動向

銅事情 3月号

2025年03月06日 資材委員会提供

<2月の国内事情>

 内閣府が2月17日に発表した2024年通年の名目成長率は、前年比2.9%増で4年連続でのプラス。実額では609兆2887億円で、1992年に500兆円を超えてから32年、安倍政権が2015年に600兆円の目標を掲げてから9年をかけての達成となった。
 同時に発表した2024年10~12月期の国内総生産(GDP)1次速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.7%の増となり、年率換算ではプラス2.8%だった。その内、GDPの過半を占める個人消費は前期比0.1%のプラスで、3四半期連続のプラスを確保した。東京都が10月に省エネ家電購入に関する補助を拡充したことで、白物家電の購入が増加したことと、年末年始の暦が長期休暇を取りやすい並びであったことで、宿泊需要が堅調となった。逆に南海トラフ地震臨時情報が出されたことにより増加した備蓄需要は一服、物価高騰で米や野菜などの消費は低調、また猛暑の長引きで秋物衣料などの衣服も低調で、個人消費を押し下げる要因となった。もう一方の内需の柱である設備投資は前期比0.5%増でプラスとなった。国内で進む半導体関連の新工場の建設がけん引し、半導体製造装置の受注が好調、このほかにもプラントエンジニアリング関連での新規の設備投資があったほか、ソフトウェア関連の設備投資も堅調に推移した。民間住宅も前期比0.1%増で小幅ながらも3四半期連続でプラスとなっている。そのほか、政府消費は0.3%の増加、公共投資は0.3%減少した。以上の結果から内需の前期比に対する寄与度は0.1%のマイナスである。一方外需は輸出が1.1%の増加で3四半期連続のプラスだった。石油関連製品が増加だったほか、製薬会社の特許権の譲渡などサービス輸出も増えた。計算上は輸出に分類されるインバウンド消費も引き続き好調だった。一方輸入は2.1%の減少。医薬品や電子部品などの輸入が減ったことで、3四半期ぶりにマイナスに転じた。結果、外需の前期比に対する寄与度は0.7%のプラスで、5四半期ぶりの外需のプラスが成長率を押し上げたこととなっている。
 国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で2.8%プラスとなっており、7~9月期の2.4%プラスからプラス幅が拡大、食料品などを中心に価格上昇圧力が高まっている。雇用者報酬の伸び率は、名目で前年同期比5.8%のプラスだが、実質では3.3%のプラスであり、実質賃金の上昇が物価上昇を上回れるかが、今後の消費の動向のカギを握る。米トランプ大統領の示した「相互関税」の考えが産業へ与える影響も懸念されている。企業業績が悪化すれば、賃上げの流れが断ち切られてしまう恐れがあり、米中対立やウクライナ情勢など、海外の不確実要素が与える影響にも注視する必要がある。
 赤沢経済財政・再生相は速報値の結果を受け、日本経済の先行きについての談話を公表。「引き続き雇用・所得環境が改善する下で、景気の緩やかな回復が続くことが期待される」とする一方「食料品など身近な品目の物価上昇の継続が、消費者マインドの下押しを通じて個人消費に与える影響に十分注意する必要が有る」とした。

<銅事情>

 2月の銅価格は、月中投機の動きにより一時的に大きく上下する場面はあったものの、それ以外は堅調に推移し、前月末から400ドル程度の上昇となった。初旬に発表された米経済指標は軟調で、景気減速懸念によりドル安傾向となった。また、カナダとメキシコに対する関税措置の発動が延期されたことなどもあり、前月末の8,900ドル台から、中旬までに9,300ドル台まで上昇した。その後、投機的動きにより450ドル上昇する日もあったが、1日で値を消した。中旬以降は米国の関税政策やドルの動きを睨みながら、比較的堅調に推移し、2月末のLME銅価格は9,364ドル、2月平均のLME銅価格は、9,329ドルとなった。
 2月のLME銅在庫量は、前日比増加した日は3日間しかなかったが、大幅増により、月間では6,000t弱の増加となった。2月末のLME銅在庫量は、261,050トンで、前月末対比プラス2.3%となった。
 2月の国内銅建値は、1月末同様の144万円/トンでスタートし、12日にプラス2万円の146万円/トン、14日にプラス3万円の149万円/トン、18日にマイナス3万円の146万円/トン、21日にプラス2万円の148万円/トン、26日にマイナス4万円の144万円/トンとなり、2月平均の銅建値は、145.6万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2024年 9月:136.7万円/t 10月:147.8万円/t 11月:144.8万円/t 12月:141.9万円/t 2025年 1月:145.9万円/t 2月:145.6万円/t
 2025年3月の国内銅建値は、2月末からプラス2万円の、146万円/トンでスタート。



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