市況動向

銅事情 2月号

2018年2月6日 資材委員会提供

<1月の国内事情>

 日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、実質GDPの成長率見通しを2017年度は前年度比+1.9%、2018年度は前年度比+1.4%と潜在成長率(0%台後半)を上回る成長を維持するとしている。要因としては、人手不足を背景とした合理化・省力化投資などの設備投資に加えて、オリンピック関連施設、ネット通販拡大に伴う物流施設、首都圏再開発事業などの建設投資が堅調と報告している。2019年度については、設備投資の減速に加え、消費税率引き上げの影響から前年度比+0.7%と成長ペースは鈍化するものの、海外経済の着実な成長を背景に輸出は増加基調を維持し、景気を下支えするとしている。但し、経済見通しの下振れ要因として、米国の経済政策運営、国際金融市場の変動、新興国・資源国の経済動向、地政学リスクなどをあげている。
 一方、2017年の完全失業率は2.8%と1994年以来23年ぶりに3%を下回り、雇用改善の流れが一段と強まってきている。また、2017年の有効求人倍率も1.50倍と44年ぶりの高水準で企業の人材確保は一層難しくなってきている。
 為替相場はムニューシン米財務長官によるドル安容認発言を受け、主要通貨に対してドルを売る動きが強まり、一時は108円台まで円高が進んだが、トランプ大統領の「強いドル」発言や環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰検討などからドルが買い戻され、1月末のドル円レートは109.79円だった。
日経平均株価は24,000円台を伺う展開が続いていたが、月末にかけて米株安の影響から6日続落し、1月終値は23,098円となり、6日間の下げ幅は1,025円だった。

<銅事情>

 LME注1銅相場はドル安ユーロ高を背景に7,200ドルを睨む展開となったが、利益確定売りと銅在庫の急増もあり、一時は7,000ドルを割り込んだ。その後、ドル安を歓迎するムニューシン米財務長官の発言が支援材料となり、7,100ドル台まで上昇したが、ドルの反発、株安など金融市場でのリスク回避の強まりから月末に向けて銅相場は3日続落した。
 LME銅在庫量は1月初めに18万トン台の水準だったが、月末4日間で約10万トン増加し、1月末の在庫量は30.7万トンとなった。
 国内銅建値は据え置きの85万円/トンでスタートし、10日にマイナス1万円の84万円/トン、15日にマイナス1万円の83万円/トン、22日にマイナス1万円の82万円/トン、24日にマイナス2万円の80万円/トン、29日にプラス1万円の81万円/トンとなり、1月の平均建値は82.5万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2017年8月:75.0万円/トン 9月:77.3万円/トン 10月:81.2万円/トン 11月:81.3万円/トン 12月:81.0万円/トン 1月:82.5万/トン)となり、2018年2月の国内銅建値は据え置きの81万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

過去の銅事情