銅事情 7月号
2023年07月13日 資材委員会提供
<6月の国内事情>
日銀が四半期毎に発表している最新の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス5で前回3月調査から4pt改善した。半導体不足の解消により、自動車の生産が持ち直し、7四半期ぶりに改善。ウクライナ侵攻後の2022年3月調査以降、悪化を続けていたが、足元で半導体の不足やエネルギー価格の高騰が一服したことが業況判断の改善につながった。業種別には16業種のうち、裾野の広い自動車がプラス5で14pt改善、前回調査で落込みの激しかった素材関連では、鉄鋼が5pt改善のプラス18、石油・石炭製品が40pt改善のマイナス6、価格転嫁が進む食料品では17pt改善のプラス6など、10業種で改善した。大企業・非製造業はプラス23で3pt改善。改善は5四半期連続で、19年6月以来、4年ぶりの水準となった。新型コロナウイルスが5類に移行し国内観光需要が拡大したことと、インバウンドの回復が影響している。業種別では全12業種のうち、宿泊・飲食サービスが36pt改善でプラス36、対個人サービスが4pt改善でプラス28など7業種で改善した。3ヶ月後の先行きについては、大企業・製造業が4pt改善のプラス9、大企業・非製造業が3pt悪化のプラス20を見込む。23年度の想定為替レートは1ドル=132円43銭と、前回の131円72銭からさらに円安が進行すると見込んだ。1年後の消費者物価指数(CPI)の見通しは、全規模・全産業で前年比2.6%上昇と、前回の2.8%上昇を下回った。23年度の全規模・全産業の設備投資計画は11.8%で過去平均を大きく上回る。企業の仕入価格判断DIや販売価格判断DIは上昇が一服。大企業・製造業の仕入価格判断DIはプラス52と前回から8pt、販売価格判断DIはプラス34と前回から3pt低下し、ともに2期連続の低下となった。大企業・非製造業では仕入価格判断DIが前回から4pt低下のプラス44に、販売価格判断DIが1pt低下のプラス28となった。日銀担当者は、「もうしばらく動向を丁寧にみていく必要がある」と述べた。一方で人手不足感の強さは継続している。雇用人員判断DIは大企業・製造業でマイナス13となり、前回から1pt上昇したが、大幅な不足感は継続。大企業・非製造業はマイナス34で前回から1pt低下。24年度新卒採用計画は全規模・全産業で前年度比14.5%増となっている。<銅事情>
6月の銅価格は、8,200ドルから8,600ドルの、狭いレンジでの値動きとなった。5月の米雇用統計が予想を上回る強さとなった事に加え、5月消費者物価指数でもインフレ鈍化の兆しが示された事で、米利上げサイクルが終わりに近づいているとの見方から、中旬過ぎまでは上昇基調となった。その後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレと闘うために金利上昇が必要になるとの考えを示し、各国中央銀行も追加利上げを余儀なくされるとの観測から、世界経済の成長鈍化が懸念され、月末に向けて下落基調に転じた。6月末のLME銅価格は8,210ドル、6月平均のLME銅価格は8,386ドルとなった。6月のLME銅在庫量は毎週減少が続き、前月末対比で30.0%となる3万トン弱の減少となった。第2週で3,500トン減、第3週で7,000トン減、第4週で8,300トン減、第5週で10,400トン減と、週を追うごとに減少幅も拡大し、6月末のLME銅在庫量は、69,700トンとなった。
6月の国内銅建値は、5月末からマイナス1万円の118万円/トンでスタートし、6日にプラス3万円の121万円/トン、14日にプラス3万円の124万円/トン、19日にプラス3万円の127万円/トン、23日にプラス1万円の128万円/トン、28日にマイナス2万円の126万円/トンとなり、6月平均の銅建値は、124.0万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2023年 1月:122.9万円/t 2月:124.6万円/t 3月:123.9万円/t 4月:123.5万円/t 5月:118.2万円/t 6月:124.0万円/t。
2023年7月の国内銅建値は、6月末同様の126万円/トンでスタート。