市況動向

銅事情 10月号

2017年10月10日 資材委員会提供

<9月の国内事情>

 日銀が発表した9月短観の業況判断DIは、全規模全産業でプラス15ポイントとなり、6月調査と比較すると3%ポイント上昇した。特に、大企業の製造業では22%ポイントと4四半期連続で改善し、10年ぶりの高水準となっており、国内外での設備投資の持ち直しを受けた機械関連製造業での改善幅が大きくなっている。一方、大企業の非製造業では23%ポイントと6月調査と横這いながらも建設関連は都心部での再開発事業などを背景に48%ポイントと高水準を維持している。
 一方、雇用人員判断DIは全規模全産業でマイナス28%ポイントとなっており、労働需給は逼迫している。6月調査と比較して3%ポイント低下しており、特に中堅、中小企業での人手不足感は一層強くなっている。先行きについても全規模全産業でマイナス31%ポイントと更に低下が予測されている。
 海外動向は、北朝鮮情勢の緊迫化に対する米、中、露、韓、日などの対応次第で地政学リスクも高まる可能性があり、予断を許さない状況が続いている。 
 9月の為替相場は、米雇用統計の悪化からドルが売られ、一時は109円台まで円高が進んだが、ニューヨーク株式相場の上昇や米国の長期金利が上げ基調となったことで、ドル買いが進み、9月後半は112~113円台を推移した。日経平均株価は、円安傾向に振れたこともあり、20,000円台を回復、9月末終値は20,356円だった。

<銅事情>

 9月のLME注1銅相場は、中国需要への期待感と南米鉱山の供給懸念が価格押し上げ要因となり、7,000ドルを見据えた展開が続いていたが、利食い売りに押されて反落すると7営業日連続で下落し、6,500ドルを一気に割り込んだ。その後は買戻しの動きもあったが、ドル高や中国需要の後退ムードが反映され、6,400ドル台でもみあう展開となった。
 LME銅在庫量は、9月初め22.3万トンだったが、中旬には4営業日連続で大幅に在庫量が増加したことから一気に30万トンを超え、その後は少しずつ減少し、月末には29.7万トンとなった。
 9月の国内銅建値は、プラス2万円の79万円/トンでスタートし、7日にプラス1万円の80万円/トン、11日にマイナス3万円の77万円/トン、14日にはマイナス1万円の76万円/トン、21日にはプラス1万円の77万円/トン、26日にはマイナス1万円の76万円/トンとなり、80万円/トンは2015年5月以来だった。9月の平均建値は77.3万円/トンとなった。
 直近6か月の平均建値は、(2017年4月:66.9万/トン 5月:67.1万/トン 6月:67.3万/トン 7月:71.3万/トン 8月:75.0万/トン 9月:77.3万/トン)となり、10月の国内銅建値はプラス1万円の77万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

過去の銅事情