市況動向

銅事情 1月号

2024年01月12日 資材委員会提供

<12月の国内事情>

 日銀が四半期毎に発表している最新の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス12となり、前回9月調査から3ポイント改善した。改善は3期連続。中小企業・製造業も6ポイント改善してプラス1となり、4年9カ月ぶりにプラス圏内に浮上。中堅企業・製造業も5ポイント改善のプラス5で、全規模で改善となった。原材料コスト高が一服、価格転嫁の進展や自動車生産の回復を背景とした、景気回復基調を裏付ける結果となった。業種別の内訳としては、素材業種が2ポイント改善のプラス9、加工業種が5ポイント改善のプラス14であった。中でも目立った動きが有ったのは、前回9月調査で21ポイントと大きく改善した木材・木製品が一転して8ポイント下落(プラス6)したのと、非鉄金属の15ポイント改善(プラス12)、金属製品の17ポイント改善(プラスマイナス0)、はんよう機械の10ポイント改善(プラス21)、自動車の13ポイント改善(プラス28)だった。一方で大企業・非製造業は、新型コロナウィルスの影響緩和や価格転嫁の進展を背景にプラス30で前回9月調査から3ポイント改善した。業種別に見た宿泊・飲食サービスの7ポイント改善のプラス51は04年調査開始以来の最高値。規模別では、中小企業・製造業の改善幅が目立つ結果となった。中小企業・製造業の改善幅は大企業・製造業の3ポイント改善を上回る6ポイントであり、19年3月調査以来4年9カ月ぶりにプラス圏(プラス1)に回復。幅広い業種で、価格転嫁の進展という声が聞かれた。先行きでは海外経済の減速不安などから、製造業、非製造業を問わず悪化予想となった。大企業・製造業が4ポイント悪化、大企業・非製造業が6ポイント悪化で、人手不足や人件費高騰を懸念する声も多かった。
 企業の事業計画の前提となる23年度の想定為替レートは1ドル=139円35銭と、前回の135円75銭からさらに円安方向に修正された。
 23年度の全規模・全産業の設備投資計画は12.8%で前回から0.2%の下落。
 企業の仕入価格判断DIや販売価格判断DIを見てみると、仕入価格判断では大企業・製造業がプラス43で前回から5ポイント下落、大企業・非製造業がプラス41で前回から2ポイント下落となり、いずれも低下が見込まれている。販売価格判断DIは大企業・製造業がプラス26ポイントで前回から6ポイント下落、大企業・非製造業ではプラス26ポイントで前回から1ポイント下落でこちらも共に低下している。販売価格判断DIと仕入価格判断DIの差(交易条件)は、大企業・製造業、大企業・非製造業ともに前回調査からほぼ横ばいで、価格転嫁の動きの一服感を裏付けている。
 人手不足感は非製造業を中心に一段と深刻さを増している。雇用人員判断DIは大企業・製造業がマイナス16で前回から1ポイント下落、大企業・非製造業もマイナス37で前回から1ポイント下落。雇用の不足感が一段と強まっている。全規模・全産業でのマイナス35は前回から2ポイントの下落であり、とりわけ非製造業を中心に下げ幅が大きく、中小企業においては、製造業、非製造業ともに値を下げる結果であった。

<銅事情>

 12月末の銅価格は、前月末対比144ドルの上昇となった。初日、FOMCの会合で金利が据え置かれた事で、2024年に金融緩和に動くとの観測が広がり、前月末から100ドル超上昇し8,400ドル台となった後、中国経済の先行き懸念等により弱含み、8,200付近まで下落した。中旬、米連邦準備制度が、歴史的な引き締め政策の終了をこれまでで最も明確に示唆したことを受け8,400ドル台を回復した後は、月末まで大きな変動は無かった。12月末のLME銅価格は8,476ドル、12月平均のLME銅価格は8,394ドルとなった。
 12月のLME銅在庫量は、前月末対比で4.9%の減少であった。11月末の17万トン台から、月初の4日間で8,500トン増加し、18万トン台となったが、以降は減少傾向となり、12月末のLME銅在庫量は、165,700トンとなった。
 12月の国内銅建値は、11月末同様の130万円/トンでスタートし、6日にマイナス3万円の127万円/トン、8日にマイナス2万円の125万円/トン、14日にマイナス2万円の123万円/トン、18日にプラス2万円の125万円/トン、20日にプラス3万円の128万円/トンとなり、12月平均の銅建値は、126.7万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2023年 7月:124.7万円/t 8月:126.6万円/t 9月:127.8万円/t 10月:124.2万円/t 11月:128.3万円/t 12月:126.7万円/t。
 2024年1月の国内銅建値は、12月末からマイナス3万円の125万円/トンでスタート。



過去の銅事情