市況動向

銅事情 12月号

2018年12月10日 資材委員会提供

<11月の国内事情>

 内閣府は2018年7~9月期の実質GDP速報値を前期比0.3%減(年率換算1.2%減)と発表し、2四半期ぶりにマイナスとなった。内外需別の寄与度は、天候不順や自然災害の影響で消費や輸出が伸び悩み、内需、外需ともにマイナスに寄与した。需要項目別の動向は、内需では野菜価格の上昇や宿泊・飲食サービスなどの利用が減少したことから、個人消費は0.1%減と2四半期ぶりにマイナスとなった。また、好調が続いていた設備投資は0.2%減と8四半期ぶりにマイナスとなったが、住宅投資は0.6%増と5四半期ぶりにプラスに転じた。外需では米国向け自動車の出荷の伸びが鈍化したことに加え、台風の影響で関西国際空港が閉鎖し、電子部品などの出荷も滞ったことから、輸出は1.8%減と5四半期ぶりにマイナスとなった。
 先行きについては、内閣府は月例経済報告の中で「緩やかな回復が続くことが期待される」としているが、米中貿易摩擦の過熱化、米欧での政治動向、中東・北朝鮮の地政学リスク、原油価格の急騰、急激な円高の進行などが景気の下振れリスクとなっている。そうした中で、2025年大阪での万博開催が決定し、経済効果は全国で約2兆円と試算されており、2020年東京五輪に続く、国内景気の盛り上がりが期待されている。
 11月の日経平均株価は22,000円台で推移していたが、NYダウの急落を受けてリスク回避の売りが先行し、21,000円台まで下落した。月末には米国家経済会議(NEC)クドロー委員長が米中首脳会談での貿易紛争解決の可能性に言及したことで、NYダウとともに日経平均株価も続伸し、22,000円台を回復したことで、11月の日経平均株価は22,351円だった。

<銅事情>

 11月のLME銅相場は米中貿易協議が進展するとの期待感が広がる中、堅調な米雇用統計も追い風となり、一気に6,200ドル超まで上昇したが、ドル高と中国貿易統計で銅輸入量が減少していたことから、6,100ドルを割りこんだ。その後は、6,100ドル台でのもみ合いが続いたが、銅在庫の大幅な減少もあり、6,200ドル台を回復した。更に、米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長の講演内容から利上げの収束が早まると予測される中、米長期金利の下落も円買い・ドル売りを誘い、ドル建てで取引される非鉄金属の割安感から銅は買われ、1カ月ぶりに6,300ドルを伺う展開となった。
 LME銅在庫量は、10月末13.9万トンから2日間で18万トン台まで一気に増加したが、その後は月末迄減少し続け、11月末には13.6万トンと前月末と同水準の在庫量だった。
 11月の国内銅建値はマイナス2万円の72万円/トンでスタートし、5日にプラス4万円の76万円/トン、8日にマイナス2万円の74万円/トン、13日にマイナス1万円の73万円/トン、16日にプラス2万円の75万円/トン、21日にマイナス1万円の74万円/トンとなり、11月の平均建値は74.4万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年6月:81.0万円/t 7月:74.0万円/t 8月:71.6万円/t 9月:71.7万円/t 10月:74.4万円/t 11月:74.4万円/t)となり、2018年12月の国内銅建値はプラス1万円の75万円/トンでスタートした。


過去の銅事情