銅事情 2月号
2023年02月06日 資材委員会提供
<1月の国内事情>
日銀は1月17,18日両日の金融政策決定会合でまとめる最新の景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中で、2022~24年度の物価見通しを上方修正する方向で検討に入った。食料品を中心に値上げが相次ぐなど、原材料価格上昇を価格転嫁する動きが想定以上に広がっている事が背景にある。23年度の消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)の見通しを前回10月の前年度比+1.6%を維持する一方、24年度の見通しは1.6%から1.8%へ引き上げた。見通しに対するリスクは「上振れの方が大きい」とした。22年度のコアCPI見通しは前回2.9%から3.0%に引き上げた。目先は輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から高めの伸びとなるが、23年度半ばにかけて政府のエネルギー価格の押し下げ効果もあってプラス幅を縮小していくと見ている。その後、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率が高まる中、政府の電気料金の負担を軽減する物価高対策の終了などの経済政策による押し下げ効果の反動もあって、再びプラス幅を緩やかに拡大していくと予想した。日銀内では「エネルギー関連価格を除いた方がより物価の基調を正確に把握できる」との見方が出てきている。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの見通しでは22年度+1.8%から+2.1%、23年度+1.6%から+1.8%、24年度1.6%維持となっており、日銀が物価目標として掲げる2.0%には達しない公算。
経済・物価の見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価動向、ウクライナ情勢、資源価格、感染症の動向などを上げ、日本経済を巡る不確実性は「きわめて高い」と指摘し、「金融・為替市場の同行や、日本の経済・物価への影響を十分注視する必要がある」とした。
<銅事情>
1月の銅価格は、中国の需要動向を意識しながら前月末比700ドル弱上昇し、9,000ドル台となった。中国での、低迷する不動産市場の需要押し上げ、国境の開放、新型コロナウイルスの規制解除などの動きによる需要改善への期待から、12日終値で9,000ドル台に上昇した。また、チリの鉱山会社アントファガスタが、銅生産量の10%減少を発表すると更に上昇し、18日には終値で9,400ドル台となった。しかしその後は、中国の春節や、明け後の需要動向を見極めたい思惑から弱含み、1月末のLME銅価格は9,075ドル、1月平均のLME銅価格は9,000ドルとなった。1月のLME銅在庫量は、前月末対比16.0%の減少。初日こそ前月並みの8万8千トン台だったものの、20日には8万トンを割り込み、週単位で全て減少した。1月末のLME銅在庫量は、74,375トンとなった。
1月の国内銅建値は、12月末からマイナス2万円の114万円/トンでスタートし、6日にプラス3万円の117万円/トン、11日にプラス6万円の123万円/トン、17日マイナス1万円の122万円/トン、19日にプラス3万円の125万円/トン、24日にプラス2万円の127万円/トンとなり、1月平均の銅建値は、122.9万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2022年 8月:113.0万円/t 9月:115.9万円/t 10月:117.9万円/t 11月:120.2万円/t 12月:118.5万円/t 2023年 1月:122.9万円/t。
2023年2月の国内銅建値は、1月末から1万円下げの126万円/トンでスタート。