市況動向

銅事情 9月号

2022年09月06日 資材委員会提供

<8月の国内事情>

 内閣府が8月15日に発表した2022年4~6月期の国内総生産(GDP)1次速報値は、物価変動の影響を除いた実質の伸び率が前の1~3月期に比べ、プラス0.5%で年率換算がプラス2.2%となった。直前にまん延防止等重点措置が解除された事で、外食や宿泊向けの個人消費が回復した事などが主な要因となり3四半期連続のプラス成長。GDPを各項目別にみると、GDPの半分以上を占める個人消費がサービスを中心に増加し、プラス1.1%(前1~3月期プラス0.3%)。内需のもう一方の柱である設備投資は、企業がデジタル化を進める投資を活発に行ったことでプラス1.4%(前1~3月期マイナス0.3%)となり、これは2四半期ぶりのプラス。住宅投資はマイナス1.9%(前1~3月期マイナス1.4%)となり、資材価格の高騰が影響しての4期連続のマイナス。公共投資はプラス0.9%(前1~3月期マイナス3.2%)。輸出はプラス0.9%(前1~3月期プラス0.9%)、輸入はプラス0.7%(前1~3月期プラス3.5%)だった。これで実質GDPは3期連続のプラスとなり、実額ベースでは542兆円と新型コロナ感染拡大直前の2019年10月~12月期を上回った(尚、2020年1月~3月期は544兆円)。しかし、GDI(国内総所得)は年率マイナス1.2%となっていることについて、日本経済の失速とみるべきとの見方も有る。

<銅事情>

 8月のLME銅価格は、平均価格では前月対比400ドル超上昇したが、月末価格の前月末対比は、80ドルの下落だった。銅相場は、1日にドル安等で若干上昇した後、米下院議員の台湾訪問を巡る米中の緊張の高まりと、米国の利上げで弱含んだ。5日以降は、米中の経済指標が予想を上回り、需要見通しが改善した他、米インフレ指標の鈍化を受けてリスク選好が強まり、上昇に転じた。中旬は比較的落ち着いた相場で、狭いレンジで一進一退しながらも、8,300ドル台まで上昇したが、FRBパウエル議長が、経済成長鈍化を警告した他、欧州のエネルギー危機、米国の金融引き締め、中国のコロナ規制による需要減少懸念等で下げ圧力が強まり、月末2日間で600ドル近く下落した。8月末のLME銅価格は7,721ドル、8月平均のLME銅価格は7,961ドルとなった。8月のLME銅在庫量は、前月末対比12.9%の減少。1日の13万トン台からじわじわ減少し、12万トン台になった後、10日に5千トン増加し、再び13万トン台になった。しかし、以降は右肩下がりで、30日に12万トンを割り込むと、月末も4千トン減少して終わった。8月末のLME銅在庫量は、114,325トンとなった。8月の国内銅建値は、7月末からプラス3万円の111万円/トンでスタートし、3日にマイナス2万円の109万円/トン、8日にプラス2万円の111万円/トン、12日にプラス3万円の114万円/トン、16日にマイナス3万円の111万円/トン、19日にプラス3万円の114万円/トン、23日にプラス2万円の116万円/トン、26日にプラス1万円の117万円/トンとなり、8月平均の銅建値は、113.0万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2022年 3月:126.4万円/t 4月:133.7万円/t 5月:125.1万円/t 6月:127.0万円/t 7月:108.6万円/t 8月:113.0万円/t。
 2022年9月の国内銅建値は、8月末から3万円下げの114万円/トンでスタート。


過去の銅事情