市況動向

銅事情 10月号

2022年10月11日 資材委員会提供

<9月の国内事情>

 日銀が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、プラス8となり、前回6月調査のプラス9から低下した。これは3期連続の悪化。一方、大企業・非製造業はプラス14で前回のプラス13から上昇。こちらは2期連続での改善となった。
 大企業・製造業は、中国のロックダウン解除などで、景況感が改善した業種が有る一方で、急速に進んだ円安や原材料のコスト上昇が景況感を悪化させた。改善した業種は、鉄鋼や汎用機械、業務用機械、自動車などで、石油・石炭製品、非鉄金属、電気機械などは悪化している。大企業・非製造業での改善理由としては、新型コロナの行動制限の緩和や価格転嫁の進展との声が聞かれた。通信や建設、不動産、宿泊・飲食サービスで改善し、対個人サービスや、電気・ガス、小売りなどは悪化した。
 前回調査での大企業・製造業の販売価格判断DIは34であったが、今回は36で2ポイント改善。同じく仕入価格は前回の65から横ばいの65であり、仕入と販売の差が31から29に縮まっている事から、歴史的な物価高に伴うコスト上昇の価格転嫁が進んでいると言える。

<銅事情>

 9月の銅相場は、前月末比70ドル程度の下落となった。1日は、前月末同様7,700ドル台であったが、ドルが過去最高水準から下落した事や、製錬所閉鎖による供給抑制、中国の建設需要期待などで、13日までに8,200ドル台まで上昇した。しかし、その後は、利上げを背景とした世界的な成長と需要への懸念に加え、ドル高や在庫の増加などで下落に転じ、28日までに7,300ドル台まで下落した。月末にかけて、ドル安等により300ドル近く上昇したものの戻りきれず、9月末のLME銅価格は7,647ドル、9月平均のLME銅価格は7,735ドルとなった。
 9月のLME銅在庫量は、前月末対比18.7%の増加。1日の11万トン台から、15日までは減少傾向だったが、以降は右肩上がりで増加した。前半1万2千トンの減少に対して、後半は3万3千トンの増加となり、9月末のLME銅在庫量は、135,750トンとなった。
 9月の国内銅建値は、8月末からマイナス3万円の114万円/トンでスタートし、5日にマイナス2万円の112万円/トン、7日にプラス4万円の116万円/トン、9日にプラス3万円の119万円/トン、13日にプラス2万円の121万円/トン、15日にマイナス3万円の118万円/トン、21日にマイナス1万円の117万円/トン、26日にマイナス4万円の113万円/トンとなり、9月平均の銅建値は、115.9万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2022年 4月:133.7万円/t 5月:125.1万円/t 6月:127.0万円/t 7月:108.6万円/t 8月:113.0万円/t 9月:115.9万円/t。
 2022年10月の国内銅建値は、9月末から2万円上げの115万円/トンでスタート。


過去の銅事情