市況動向

銅事情 10月号

2018年10月05日 資材委員会提供

<9月の国内事情>

 日銀が発表した9月短観の大企業製造業の業況判断DIは19ptで、6月調査から2pt悪化して3四半期連続での悪化となった。業種別には素材業種が14ptで6pt悪化、加工業種が横ばいの22ptだった。素材業種では原油価格が1バレル70ドル台に上昇したことで、石油・石炭製品が18pt悪化するなど業種によっては変化幅が大きくなっている。大企業非製造業の業況判断DIは22ptで、6月調査から2pt悪化した。台風21号、北海道胆振東部地震などの自然災害が大きな打撃となり、8四半期ぶりの悪化となった。
 3か月後の先行きについては、大企業製造業、大企業非製造業ともに横ばいとなっているが、業種によっては米国発の貿易戦争による世界経済の減速や輸出の減少を懸念して、大きな変化幅での悪化を警戒している。
 雇用人員判断DIは、全規模全産業でマイナス33ptと6月調査から1pt悪化しており、先行きについても全規模全産業でマイナス37ptとなっており、一層の人手不足が懸念されている。
 一方、設備投資計画は旺盛で設備投資額は全規模全産業で前年度比8.5%増を見込んでおり、特に製造業での設備投資は各規模において前年度比二桁増の設備投資が計画されている。
 9月の日経平均株価は台風21号、北海道胆振東部地震などの自然災害から投資家心理が後退し、22,300円台まで株価は下落したが、トルコ中央銀行が大幅な利上げに踏み切ったことで、新興国の通貨不安が一服し、円相場が円安ドル高に進んだことで、株価は23,000円台まで回復した。その後も世界的な株高と円安進行により、日経平均株価の月末終値は24,120円だった。

<銅事情>

 9月のLME銅相場は、中国の8月PMIが悪化したこと、8月対米貿易黒字が過去最高だったことなどから、5,800ドル台まで下落したが、イタリア債務問題への懸念が後退し、ドルに対してユーロが上昇したことが相場を下支えした。更に、トルコ中央銀行による大幅な利上げが好感されて新興国通貨が対ドルで上昇し、新興国市場への警戒感が後退、投資家心理が改善したことで銅相場にも買いが入り、6,000ドルを回復した。その後は中国景気の減速懸念が和らぎ、世界の株価も大きく上昇し、銅相場は6,300ドル台に突入したが、月末には利益確定売りも入り、6,200ドル台となった。
 LME銅在庫量は8月末26.6万トンから減少し続け、9月末には21万トンまで減少した。
 9月の国内銅建値はマイナス1万円の71万円/トンでスタートし、6日にマイナス1万円の70万円/トン、13日にプラス1万円の71万円/トン、19日にプラス1万円の72万円/トン、25日にプラス3万円の75万円/トンとなり、9月の平均建値は71.7万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年4月:77.8万円/t 5月:79.7万円/t 6月:81.0万円/t 7月:74.0万円/t 8月:71.6万円/t 9月:71.7万円/t)となり、2018年10月の国内銅建値は据え置きの75万円/トンでスタートした。


過去の銅事情