市況動向

銅事情 3月号

2023年03月08日 資材委員会提供

<2月の国内事情>

 内閣府が2月14日に発表した2022年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比+0.2%増の年率換算で+0.6%となった。プラス成長となったのは2四半期ぶり。22年の実質GDPは前年比1.1%増で、これは2年連続のプラスだった。新型コロナウイルス渦からの経済の成長が緩やかに進んでいる形。
 内需の柱でGDPの過半を占める個人消費は前期比+0.5%。供給制約の緩和で自動車などの耐久財の伸びと、政府の打ち出した観光促進策である「全国旅行支援」を追い風にした宿泊や交通がプラスであった一方で、飲料などの非耐久財は10月の値上げを前にした駆け込み需要の反動で減少した。内需のもう一つの柱である設備投資は-0.5%で3四半期ぶりのマイナス。半導体製造設備や一般機械が減少しており、世界的な半導体需要の減少や海外経済の減速懸念が影響した可能性がある。そのほか住宅投資は-0.1%で、資材価格の高騰が着工の鈍りにつながっている。
 輸出は+1.4%で、輸出に分類されるインバウンド消費が10月の入国規制緩和に伴い伸びた。輸入は前期に海外への広告関連の支払いが大幅に増えた反動で-0.4%。
 GDPデフレーターは前年同期比で+1.1%で3四半期ぶりにプラスへ転じた。輸入物価の上昇が一服したことと、国内での価格転嫁が徐々に広がってきたことを示している。雇用者報酬は前年同期比+2.9%だが、実質では-1.4%で物価上昇に賃金アップが追いつかず、5四半期連続のマイナスとなった。

<銅事情>

 2月の銅価格は、中国の需要や為替の動向を眺めながら、9,000ドルを挟んだ値動きとなった。3日までは、9,000ドル台を維持したが、新型コロナウイルス関連規制を撤廃したにも関わらず、中国の需要回復に懸念が残ることに加え、米中の緊張やドル高が売りを促し、6日には9,000ドルを割り込んだ。その後も中国需要に対する懸念と期待、米国の利上げ動向とドル相場等を意識した投機的な動きにより一進一退で、2月末のLME銅価格は8,844ドル、2月平均のLME銅価格は8,955ドルとなった。
 2月のLME銅在庫量は、前月末対比15.0%の減少。初日は、前月末から2千トン近く減少し、7万2千トン台だったが、3日に7万トンを割り込むと、10日には6万2千トン台まで減少。14日に6万6千トン近くまで戻したが、再び減少傾向となり、2月末のLME銅在庫量は、63,200トンとなった。
 2月の国内銅建値は、1月末からマイナス1万円の126万円/トンでスタートし、3日にマイナス4万円の122万円/トン、14日にプラス1万円の123万円/トン、17日プラス3万円の126万円/トン、22日にプラス3万円の129万円/トンとなり、2月平均の銅建値は、124.6万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2022年 9月:115.9万円/t 10月:117.9万円/t 11月:120.2万円/t 12月:118.5万円/t 2023年 1月:122.9万円/t 2月:124.6万円/t。
 2023年3月の国内銅建値は、2月末から1万円下げの128万円/トンでスタート。



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