銅事情 8月号
2017年8月8日 資材委員会提供
<7月の国内事情>
日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、景気判断を4月の「緩やかな拡大に転じつつある」から今回「緩やかに拡大している」と報告した。先行きについては、2017年度から2018年度は、財政・金融政策の景気刺激効果と海外経済の成長率の高まりを背景に、潜在成長率0%台後半を上回る成長を続けるとしている。また、2019年度については、不確実性は高いとしているが、消費税率引き上げによる影響と資本ストックの蓄積に伴う設備投資の減速に加え、オリンピック関連投資も一巡し、成長ペースは鈍化するものの外需に支えられて景気拡大は続くと予測している。具体的な実質GDPの成長率見通しを2017年度は前年度比+1.8%、2018年度は前年度比+1.4%、2019年度は前年度比+0.7%としている。金融情勢は、米国株が堅調に推移したことで一時は114台まで円安が進んだが、スパイサー報道官の退任など不安定なトランプ政権に対する先行き不安感に株安も加わり、月末には110円台とほぼ1ヶ月ぶりの円高水準となった。日経平均株価は2万円台の攻防が続いたが、円高傾向に推移した月末終値は19,925円となった。
<銅事情>
7月のLME注1銅相場は、ドル安の一服、原油の急落、LME銅在庫の増加など下げ圧力が強まり、6月末の5,907ドルから一時は5,600ドル台まで下落したが、中国政府発表のGDPが前年同期比6.9%増と予想上振れの中、5,900ドル台まで急伸した。更に、共産党大会を秋に控えた中国の景気対策による需要増加、チリ、インドネシアなど生産国でのストが重なり、供給懸念が銅相場押し上げの支援材料となり、3月1日以来6,000ドルを突破し、月末には6,347ドルまで上昇した。LME銅在庫量は、6月末の24.9万トンから一時は31万トン台まで増加し、その後30万トン台を推移していたが、月末には29.6万トンとなった。
7月の国内銅相場は、2万円上げの71万円/トンでスタートし、6日にマイナス1万円の70万円/トン、12日にプラス1万円の71万円/トン、24日にはマイナス1万円の70万円/トンと小幅な動きとなっていたが、LME銅相場の高騰を受け、26日にはプラス4万円の74万円/トンとなり、7月の平均建値は71.3万円/トンとなった。
直近6か月の平均建値は、(2017年2月:71.2万/トン 3月:70.3万/トン 4月:66.9万/トン 5月:67.1万/トン 6月:67.3万/トン 7月:71.3万/トン)となり、8月の国内銅相場は据え置きの74万円/トンでスタートした。
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)