市況動向

銅事情 4月号

2022年04月11日 資材委員会提供

<3月の国内事情>

 日銀が四半期毎に発表している全国企業短期経済観測調査(短観)の3月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、前回の2021年12月調査(プラス17ポイント)から3ポイント悪化のプラス14ポイントとなり、2020年6月の調査以来の7四半期ぶりの悪化となった。コロナ禍により、2020年6月に大幅に悪化したのちに改善傾向は続いていたものの、今回はロシアによるウクライナ侵攻による国際情勢の緊迫化などにより、資源高や新型コロナウィルスの感染再拡大もあり、悪化に転じた。
 大企業・製造業のDIは、16業種のうち9業種が悪化し改善はわずか3業種であった。悪化幅が大きいものとして、原材料価格の上昇の影響が大きい【紙・パルプ】が14ポイント悪化のマイナス3ポイント、【食料品】も7ポイント悪化のマイナス5ポイントとなり、新型コロナの変異株であるオミクロン株の流行等により、部品の供給不足が影響した【自動車】も7ポイントの悪化でマイナス15ポイントとなった。
 一方、大企業・非製造業は、プラス9ポイントとなり、マイナス1ポイント悪化した。新型コロナウィルスの再拡大により【宿泊・飲食サービス】が5ポイント悪化のマイナス56ポイント、遊園地などの【対個人サービス】は、12ポイント悪化のマイナス14といずれも大きく下落した。

<銅事情>

 ロシア制裁に伴う供給懸念により、ロシアが産出国であるアルミやニッケルが高騰する中、引っ張られるかたちで銅価も上昇し、3月の銅相場は、前月末比約360ドルの上昇となった。メタル全般の上昇に加え、ドルが弱含んだ事もあり、2日終値で10,000ドル台に乗せると、前半は堅調に推移。ニッケルの暴騰と取引停止の混乱により、銅も大きく下げる場面もあったが、終値で10,000ドル台を維持した。中旬に、中国でのコロナ感染拡大による需要減の懸念から、9,000ドル台に下落する場面もあったが、以降は月末まで終値10,000ドル台で推移した。3月末のLME銅価格は10,337ドル、3月平均のLME銅価格は10,238ドルとなった。
 3月のLME銅在庫量は、前月末対比29.0%の増加。前月同様7万トン台でスタートした後、弱含みで推移したが、10日~18日で約1万トン増加し、8万トン台となった。更に、月末の4日間で1万3千トン以上増加し、3月末のLME銅在庫量は、93,975トンとなった。
 3月の国内銅建値は、2月末からマイナス1万円の119万円/トンでスタートし、3日にプラス5万円の124万円/トン、7日にプラス3万円の127万円/トン、9日にマイナス3万円の124万円/トン、15日にマイナス2万円の122万円/トン、17日にプラス3万円の125万円/トン、22日にプラス3万円の128万円/トン、24日にプラス3万円の131万円/トン、29日にプラス2万円の133万円/トンとなり、3月平均の銅建値は、126.4万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2021年 10月:115.3万円/t 11月:116.5万円/t 12月:112.8万円/t 2022年 1月:117.9万円/t 2月:119.1万円/t 3月:126.4万円/t。
 2022年4月の国内銅建値は、3月末から2万円下げの131万円/トンでスタート。


過去の銅事情