市況動向

銅事情 8月号

2019年8月9日 資材委員会提供

<7月の国内事情>

 日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、2019年度の実質GDPを0.7%(4月調査から▲0.1ポイント)、消費者物価指数を1.0%(4月調査から▲0.1ポイント)と僅かながら下方修正した。米中貿易摩擦の深刻化による海外経済減速の影響から輸出が弱めの動きとなる中、設備投資も製造業を中心に増勢が一旦は鈍化することが予測されており、個人消費も消費税率引き上げの影響を受け、下押しされる局面が想定されている。一方で、緩和的な金融環境のもとでの能力増強投資、都市再開発関連投資、省力化投資などから設備投資は回復基調となり、個人消費も雇用・所得環境の改善が続くもとで軽減税率導入など政府の対応から増加傾向をたどるとしている。こうしたことから、2019年度はプラス要因、マイナス要因が相殺されて緩やかな成長が続くと予測しており、2020年度以降についても世界経済の回復が少しずつ後ろずれしていく可能性を示唆したものの、実質GDPは2020年度を0.9%、2021年度を1.1%と拡大基調が続くと予測している。また、物価の中心的な見通しは2020年度1.3%、2021年度1.6%と前年度比プラスで推移しているものの、労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いており、総務省がまとめた6月の消費者物価指数も30カ月連続で上昇となったが、携帯電話の通信料引き下げや原油安などの影響から前年度比0.6%増に留まっている。

<銅事情>

 7月のLME銅相場は米中貿易協議が進展しない中、世界経済の成長懸念が相場を圧迫し、5,804ドルまで下落したが、米ニューヨーク連邦銀行・ウィリアムズ総裁のハト派的発言からNY株価が上昇、ドル下落も相場を支援し、6,000ドル台まで上昇した。その後は、6,000ドルの頭が重く、FOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、小幅な動きが続き、7月平均のLME銅相場は5,940ドルとなった。
 7月のLME銅在庫量は徐々に増加し、一時は30万トン台まで積み上がったが、その後は大きな変動はなく、7月末の銅在庫量は29万3,000トンとなった。
 7月の国内銅建値は、1日にプラス1万円の70万円/トンでスタートし、3日にマイナス2万円の68万円/トン、11日にプラス1万円の69万円/トンとなった。中旬以降はLME銅相場の変動が小さかったことから国内銅建値の改定もなく、7月の平均建値は68.8万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2019年2月:73.4万円/t 3月:75.9万円/t 4月:76.5万円/t 5月:70.9万円/t 6月:67.6万円/t 7月:68.8万円/t)となり、2019年8月の国内銅建値は据え置きの69万円/トンでスタートした。


過去の銅事情