市況動向

銅事情 10月号

2024年10月03日 資材委員会提供

<9月の国内事情>

 日銀が10月1日に発表した2024年9月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス13で、2四半期ぶりの改善となった前回調査から横ばいだった。自動車メーカの認証不正問題の影響緩和や賃金の上昇による個人消費の持ち直しといったプラス材料と円高進行による輸出企業の収益悪化といったマイナス材料とが打ち消しあった。尚、先行きはプラス14。大企業・非製造業はプラス34。前回調査では16期ぶりに悪化となったわけだが、今回は小幅な改善となっている。賃金上昇による個人消費の持ち直しやインバウンド需要の堅調維持がプラス材料となった一方で、8月の南海トラフ地震臨時情報を受けた旅行などの見合わせや、ゆったりと列島を縦断した台風10号に伴う外出減少などが、サービス業などへの逆風となった。先行きはプラス28。
 企業の事業計画の前提となる想定為替レートは、2024年度通期1ドル=145.15円(全規模・全産業)で、6月調査の144円77銭から38銭円安方向へ振れている。
 24年度の全規模・全産業の設備投資計画は前年比+8.9%で、その内、大企業・製造業は+18.8%で、大企業・非製造業は+6.0%となった。
 足元の価格の動きを示す販売価格判断DIは大企業・製造業で3ポイント、仕入価格判断DIは同じく6ポイント、それぞれ低下している中で、企業の物価見通しの物価全般の見通しでは5年後が大企業・製造業がプラス1.8%(全規模・全産業はプラス2.2%)で、前回調査と変わらない数字となっており、このことは足元では円高などの影響を受けて、価格が下振れていることを表している。
 雇用人員判断DIは全規模・全産業でマイナス36、大企業・製造業がマイナス19で共に前回から1ポイント下落。大企業・非製造業は横ばいながらもマイナス39。先行きに関しては大企業・非製造業が横ばいとなっている以外は軒並み低下となっており、人手不足がより深刻になっていくことが見込まれている。
 9月27日に石破氏が自民党総裁選に勝利したことで、追加利上げ観測が強まり、円高・株安が進んだ(「石破ショック」)が、日銀の主な意見は、不安定な金融市場や米国など海外景気の不透明感を背景に、追加利上げに慎重な意見が大半となり、「石破ショック」は和らいだ。10月27日に行われる衆院選直後の金融政策決定会合(10月30,31日)で日銀が追加利上げに踏み切る可能性は大きく低下している。

<銅事情>

 9月の銅価格は、9,000ドル割れまで下落した後、上昇トレンドに転じ、前月末対比で6.0%の上昇となった。序盤、軟調な中国製造業PMIが需要減少に対する懸念を拡大させると、ドル高も背景に3日続落し、8,800ドル台まで下落した。しかしその後、米連邦公開市場委員会(FOMC)が4年半ぶりとなる0.5%の利下げを決定、事前の織り込みも含め、19日までに9,400ドルを回復した。さらにその後、中国人民銀行が、今年の5%前後の経済成長達成に向け、これまでで最も広範な景気刺激策を打ち出した事や、中国共産党政治局が、不動産価格の下落に歯止めをかける方針を示すとともに、利下げを強力に実施するよう、政府や中国人民銀行に求めたと報じられるとさらに上昇し、9月末のLME銅価格は9,767ドル、9月平均のLME銅価格は9,254ドルとなった。
 9月のLME銅在庫量は、第1週4,200トン減、第2週7,900トン減、第3週6,850トン減、第4週1,100トン減、月末425トン減と、じわじわ右肩下がりで、9月末のLME銅在庫量は、300,175トンで、前月末対比マイナス6.4%となった。
 9月の国内銅建値は、8月末からプラス2万円の139万円/トンでスタートし、4日にマイナス5万円の134万円/トン、9日にマイナス3万円の131万円/トン、12日にプラス2万円の133万円/トン、17日にプラス2万円の135万円/トン、19日にプラス2万円の137万円/トン、24日にプラス3万円の140万円/トン、26日にプラス5万円の145万円/トンとなり、9月平均の銅建値は、136.7万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2024年 4月:148.2万円/t 5月:164.4万円/t 6月:158.4万円/t 7月:154.0万円/t 8月:136.5万円/t 9月:136.7万円/t。
 2024年10月の国内銅建値は、9月末同様の、145万円/トンでスタート。



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