銅事情 12月号
2024年12月12日 資材委員会提供
<11月の国内事情>
内閣府が11月15日に発表した2024年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.2%の増となり、年率換算では0.9%の増だった。GDPの過半を占める個人消費が全体を押し上げ、2四半期ぶりのプラス成長だった4~6月期に引続き、2四半期連続のプラス成長となった。その個人消費は前期比0.9%増で、5四半期ぶりのプラスだった前回に引続き、2四半期連続のプラスだった。一部自動車メーカの認証不正問題で止まっていた生産や出荷が再開し、自動車の購入が回復した。スマートフォンの新商品も消費の増加に寄与している。一方で猛暑や台風、南海トラフ地震臨時情報なども消費に影響を与え、旅行や外食、宿泊などが振るわなかった。パックご飯や清涼飲料水も押し下げ要因となっている。衣料品も4~6月期の好調だった販売の反動がみられた。もう一方の内需の柱である設備投資は前期比0.2%減で、2四半期ぶりにプラスに転じた4~6月期から反転し、マイナスだった。内閣府の担当者は、プラント工事関連の支出が減少したとコメントしている。民間住宅も前期比0.1%減で2四半期ぶりにマイナスへ、公共投資も前期比0.9%減でこちらも2四半期ぶりに落ち込んでいる。政府消費は前期比0.5%増だった。輸出は前期比0.4%増で、金属製品や半導体などの電子部品が増えている。計算上輸出に分類されるインバウンド消費は前期比13.3%減で、訪日客数が頭打ち傾向にあることが背景と見られている。輸入は前期比2.1%増で医薬品やスマホの輸入が増えた。年率の成長率に対する寄与度をみると、内需がプラス2.5ポイント、外需がマイナス1.6ポイントで寄与度に関しての内需のプラスは2四半期連続、外需のマイナスは3四半期連続となる。雇用者報酬は実質で0.9%増加し、11四半期ぶりにプラスに転じた4~6月期の0.8%増に引続き増えている(名目では3.6%増)。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で2.5%上昇となっているが、4~6月期の3.1%上昇から伸び率は縮んでいる。
赤沢経済財政・再生相は15日の記者会見で、所得の改善を強調し、先行きについても景気の緩やかな回復が続くことがきたいされるとコメントしている。
<銅事情>
11月の銅価格は、中国経済に対する懸念やドル高により、前月末対比で5.8%の下落となった。序盤は中国経済の回復に対する期待やドル安を背景に3日連続で上昇し、9,600に迫った。しかし、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利により、ドル高が急速に進んだ事や、中国政府による景気刺激策が市場の期待を下回った事などで大きく下落し、14日には8,800ドルを割り込んだ。その後は、ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まり、堅調なドル高などで一進一退となり、11月末のLME銅価格は8,879ドル、11月平均のLME銅価格は9,075ドルとなった。11月のLME銅在庫量は、初日に26,000トン超と大幅に減少した。2週目にも2,000トン近く減少したが、その後は週単位での大きな変動は無く、11月末のLME銅在庫量は、270,725トンで、前月末対比マイナス9.8%となった。9月以降、毎週減少が続いている。
11月の国内銅建値は、10月末からマイナス1万円の148万円/トンでスタートし、6日にプラス3万円の151万円/トン、11日にマイナス4万円の147万円/トン、13日にマイナス3万円の144万円/トン、18日にマイナス2万円の142万円/トン、20日にプラス2万円の144万円/トン、25日にマイナス3万円の141万円/トン、となり、11月平均の銅建値は、144.8万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2024年 6月:158.4万円/t 7月:154.0万円/t 8月:136.5万円/t 9月:136.7万円/t 10月:147.8万円/t 11月:144.8万円/t。
2024年12月の国内銅建値は、11月末からマイナス2万円の、139万円/トンでスタート。