銅事情 4月号
2020年04月10日 資材委員会提供
<3月の国内事情>
日銀が発表した3月短観の大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、昨年12月の前回調査から8%Pt減(12月調査:0%Pt)と5四半期連続で悪化となり、異次元金融緩和開始前の2013年3月調査(8%Pt減)以来のマイナスとなった。大企業・製造業は、素材業種の商品市況の悪化や自動車などの減産を背景に、鉄鋼や非鉄金属が悪化したことに加えて、中国経済の落ち込みを受けて繊維が悪化した。
加工業種は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中国での設備投資の先送りによる受注減や海外経済の減速に伴う輸出の低迷を受けて、生産用機械が大幅に悪化し、製造業全体を下押しした。加えて、IT需要の低迷を背景に電気機械が悪化したほか、中国製部材の調達遅延や海外・国内販売不振から自動車が悪化した。
大企業・非製造業のDIは、8%Pt増(12月調査20%Pt増)と大幅に悪化したものの、プラスを維持した。大企業・非製造業も、新型コロナウィルス感染拡大に伴う訪日外国人観光客の減少や外出・イベント自粛が下押し要因となった。
2020年度の設備投資計画は前年度比04%減となり、製造業を中心に2019年度に先送りされた計画が計上された可能性があるほか、非製造業では省力化投資の根強さや再開発などの建設投資がプラス要因となったと推察されるものの、今後の新型コロナウィルス感染拡大に伴い業績が下振れれば、設備投資計画も下方修正される可能性が極めて高く、注視が必要。
<銅事情>
3月の銅相場は、新型コロナウィルスの経済への影響が色濃く、大幅下落となった。月初は5,600ドル台でスタートしたが、原油急落が世界的な株安を引き起こし、中国、米国の経済指標も悪化すると、18日には5,000ドルを割り込み、19日には一時4,300ドル台まで下落した。その後は米経済支援策を材料に4,700ドル台で推移し、3月末のLME銅相場は4,797ドル、3月平均のLME銅相場は5,179ドルとなった。3月のLME銅在庫量は2週目まで減少傾向を辿り、18万トンを割り込んだが、16日に約4万トン強増加してからは22万トン以上をキープし、3月末のLME銅在庫量は22万1,000トンとなった。
3月の国内銅建値は、2日にマイナス3万円の64万円/トンでスタートし、5日にプラス1万円の65万円/トン、9日にマイナス2万円の63万円/トン、12日にマイナス1万円の62万円/トン、17日にマイナス2万円の60万円/トン、19日にマイナス5万円の55万円/トン、25日にプラス3万円の58万円/トンとなり、3月平均の銅建値は606万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2019年 10月:663万円/トン 11月:681万円/トン 12月:705万円/トン 2020年 1月:706万円/トン 2月:667万円/トン 3月:606万円/トン。
2020年4月の国内銅建値は、マイナス1万円の57万円/トンでスタート。